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外務省が10月8日から、旭日旗に対する誤った批判に反論する動画を韓国語などで配信している。すでに英語版の動画を配信しており、旭日旗への「侵略や軍国主義の象徴」といった批判が的外れであることを韓国人ユーザーらにも伝えたい考えだ。
動画は2分間で、外務省のユーチューブチャンネルで配信される。英語版は9月6日の配信以来、再生回数を伸ばし、10月7日現在で1万5千回を超えている。8日からは韓国語を含む8つの外国語と日本語で配信を開始した。
旭日旗が日の出をかたどり、節句、還暦、結婚祝い、大漁旗、スポーツ観戦など幅広い機会で使用されると説明。海上自衛隊艦艇が平成10年に韓国・釜山に寄港したときなども艦上に旭日旗が掲げられたことや、日の出を模した柄が20カ国・地域首脳会議(G20サミット)の場でも使用されている様子を紹介している。
旭日旗をめぐっては、今夏の東京五輪で、韓国のオリンピック委員会を兼ねる大韓体育会が国際オリンピック委員会(IOC)に対し、旭日旗の持ち込みや使用について懸念を伝えた。また30年に韓国で行われた国際観艦式では、韓国から旭日をあしらった自衛艦旗の掲揚自粛を求められ、海自が参加を見送った。
こうした経緯を踏まえ、外務省幹部は「第三国の方の中には、旭日旗の意味をよく知らないままにプロパガンダに乗ってしまうことがあり得る」と指摘する。
旭日旗に関する対日批判をめぐり、政府はこれまで官房長官や外務省報道官らの記者会見で反論してきたほか、日本が不当に非難された場合には在外公館を通じて申し入れを行うといった対応を続けてきた。今回の動画配信で、日本の主張の正当性を一般の人向けにより分かりやすく伝えたい考えだ。旭日旗を通じた対日批判の異様さを強調する狙いもある。
外務省幹部は「今後も不適切な事案はあり得る」と警戒。「動画配信は外交の『武器』を1つ増やす意味合いがある」と話している。
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韓国メディア、日本政府の旭日旗動画に反論も矛盾
外務省が同省のユーチューブチャンネルで配信している旭日旗の本来の意味を紹介する動画をめぐり、韓国メディアが反論を始めている。ただ、反論には矛盾する点もあり、論拠を欠いた形となっている。
動画は英語のみの配信だったが、今月8日から日本語や韓国語など9カ国語を加えて配信を開始した。旭日旗が日の出をかたどった意匠で、日本国内で長い間広く使用されているといった説明をしている。
これに対し、韓国のOBS京仁テレビが11日、日本政府を批判した。外務省の動画で日の出をあしらったデザインが2010(平成22)年11月に韓国ソウルで開催された20カ国・地域(G20)首脳会議のロゴでも使われていたと紹介していることに対し、OBS京仁は灯籠を模した柄だと主張。日本政府の動画を「こじつけを盛り込んだ映像を製作し、全世界に配信した」などとした。
だが、韓国政府は同年7月8日付の政府公式サイトで、G20のロゴについて「東海(正式には日本海)に昇る太陽と韓国伝統の灯籠『チョンサチョロン』」を模していると説明。韓国政府は日の出をかたどったロゴであることを認めており、韓国メディアの報道内容には矛盾が生じている。
外務省は韓国語のほか、フランス語やドイツ語、タイ語などでも配信を始めた。この影響もあってか、もともと配信されていた英語版は今月7日時点で再生回数が1万5000回超だったが、15日の段階で3万回を突破。約1週間で2倍に急増しており、発信力の強化に弾みをつける形となっている。
筆者:岡田美月(産経新聞)