A Year to 2021 Tokyo Olympics

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東京五輪・パラリンピックに参加する選手や関係者に求められる新型コロナウイルス対策をまとめた「プレーブック(規則集)」の第2版が公表された。選手は原則毎日ウイルス検査を受けるなど、2月発行の初版に比べ厳格化されたが、数万人規模の対象者にルールを徹底させ、管理するのは簡単なことではない。各国・地域選手団に無償提供されるワクチンも「打てば100%感染を防げるかというと、そうではない」と丸川珠代五輪相。「安全、安心な大会」実現には、その実効性をいかに担保するかがカギとなりそうだ。

 

「どのように安全で安心な大会な開催するかという疑問にお答えする責任がある。本日お示しするプレーブックが本日時点での答えと考えている」。大会組織委員会の橋本聖子会長は4月28日、関係機関のトップによる5者協議の席上、こう力を込めた。

 

感染力が強いとされる変異株への対応などから、第2版では検査頻度が引き上げられた。海外からの参加者は出国前96時間以内に2度(初版では72時間以内に1度)検査を受け、陰性証明を取得する必要がある。日本の空港到着時に加え、滞在中も選手らは原則毎日(初版は最低4日に1度)、大会関係者は入国後3日間は毎日、その後は選手との接触度合いに応じ定期的に検査を受ける。

 

選手への検査は基本的に唾液による抗原検査で、陽性となれば同じ検体でPCR検査、なお陽性なら鼻から採取した検体で再度PCR検査を行う。複数の網をかけて偽陽性のリスクを下げ、「検査をこまめにやることで、クラスター発生頻度が劇的に下がる」と中村英正大会開催統括。早期発見により医療への負荷増大を抑えるのが狙いだ。

 

選手らは原則として宿泊場所や競技会場など事前に活動計画書に記載した場所以外への移動はできず、公共交通機関は利用できない。大会関係者も入国後14日間は移動や食事が制限される。

 

これらのルールに違反した場合、大会参加資格の剥奪もあり得る。国際オリンピック委員会(IOC)や組織委などは各組織に連絡窓口となる「コロナ対策責任者」を決め、ルール順守の徹底と管理を求める。

 

政府などは検査を外部に委託することを基本としているが、全国の医療現場が逼迫(ひっぱく)する中、膨大な作業にあたる人員の確保や、ホストタウンなど地方での検査体制整備など、課題は多い。外出制限など厳しいルールも、守られなければ意味がない。

 

4月30日に初開催された組織委の専門家会議でも、ルールの実効性担保が話題になった。国立感染症研究所の斎藤智也・感染症危機管理研究センター長は「本人の自主性もそうだが『第三者の目』が行き届くか、(組織委に)質問した」。中村氏は「(大半の)選手は選手村で生活するので大きな逸脱はないと思う」としつつ、選手村外で活動するより多くの関係者らの管理の難しさを口にした。

 

組織委は今後、スポンサー企業やメディアなど分野ごとに対象者とのオンラインミーティングを開催し、プレーブックの内容について周知徹底を図るとともに、出た意見を6月発行予定の最終版にいかす方針。橋本会長は「ルールを全ての参加者に認識いただき、大会成功のために1人1人が貢献する気持ちで来日いただくことが重要だ」と話している。

 

筆者:森本利優(産経新聞運動部)

 

 

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