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東京消防庁の出初式で消火活動にあたる屈折放水塔車. 2025年1月6日、東京・江東区で(©JAPAN Forward 海藤秀満撮影)
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2025年1月6日、東京都江東区で東京消防出初式が開催された。17世紀の江戸時代から続く伝統行事でもあり、地震や火災が多い日本では、消防と救急隊の活動が欠かせない。昨年の能登半島地震の被災地に東京消防庁から部隊が派遣されているため、今年の規模はやや縮小されたものの、約2900名の消防関係者と約150台の車両、消防ヘリコプターと消防艇が参加した。
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演目では、江戸消防記念会による伝統的な江戸時代からの「火消し」による「はしご乗り」が披露されたのに続き、現代の消防隊による、首都直撃地震を想定した救助・消火演習が行われた。
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首都圏で発生した大地震で倒壊した建物から出火。まず初期消火に市民や消防団員が消化器で対処し、消防隊の到着を待つ。
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一方で、工場の危険物タンクからは爆発火災が発生。危険物に対処可能な装備の化学消防隊と無人走行放水車などが出動した。さらに別の地域では倒壊した建築物の下敷きになった車や怪我人の救助と、化学薬品が漏れて危険な箇所への特殊部隊による救助活動が行われた。1995年には都内の地下鉄内で、猛毒のサリンによるテロ事件が発生した教訓から、現在は毒物・化学物テロに対処できる部隊が組織されている。さらに別の場所では、高層建物に取り残された人を救助するために、即応対応部隊や消防ヘリ、はしご車の連携による救助作戦が展開された。
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東京消防庁にはさまざまな事案に対応できる特殊車両や機材、部隊が配置されているが、近隣の自治体とも連携して災害と救急対応に備えている。災害や緊急事態が発生したら冷静に状況を把握し、初期段階でできる措置を行い、消防の応援や指示を仰ごう。
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能登半島地震などの協力
2024年は元旦の能登半島地震に始まり、火災や豪雨災害、猛暑による東京消防庁の出動件数も多かった。東京消防庁の管轄区域での2023年の火災件数は4330件、救急車出動は92万件だった。
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救急車出動では緊急性がないものも多く、そのために本来必要な緊急案件に対処できないケースもあるという。消防・救急の緊急要請は119番への通報だが、救急車が必要かどうか判断に迷った場合は、#7119の救急相談センターに電話して指示を仰いで欲しいという。熱中症による外国人の救急搬送も増えているが、東京消防庁では英語、中国語、韓国語、ポルトガル語、スペイン語での対応を備えている。
火災では近年、リチウムイオン電池の発火による火災が増えている。充電時の発火や、廃棄物のゴミに紛れたものからの発火などが目立つ。リチウムイオン電池の発火は、ごみ処理場火災から処理場の機能停止につながる事案にもなる。
小さな発火でも建物が密集する東京では大火災につながる恐れがある。
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首都直下地震発生の想定演習
関東大震災が発生したのが100年以上前の1923年。2024年には南海トラフ巨大地震注意情報が発信されるなど、人口約1400万人を抱える東京は大地震による災害への備えが喫緊だ。
小池百合子・東京都知事は冒頭の式辞で「今年は都内で、世界陸上選手権大会やデフリンピックという大きな国際大会が開かれます。
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国内外から東京を訪れる人に、安全で安心して暮らせるための備えを常日頃から行いたい」とし、「都心部が大規模地震で被災して機能不全に陥った場合に備え、立川市・多摩地区に非常用の防災拠点の整備も進めます」と防災計画にも触れた。
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Author: Hidemitsu Kaito
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