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軽井沢(長野県)と草津・万座温泉(群馬県)をつなぐ高原ルート上に新しいキャンプ場が誕生した。浅間山(標高2568メートル)を仰ぎ見る標高1400メートルの地にキャンプサイトのほか「手ぶらでも行ける」というジオルームグランピングも用意し、キッチンやシャワールームも完備した群馬県嬬恋村の「浅間山キャンプ場」。新型コロナウイルス禍でアウトドアが見直される中、各地に関連資産を保有する西武グループが手がけるキャンプ場の第1号という。
コロナでブーム過熱
軽井沢駅から国道や鬼押ハイウエーを北上し、高度を上げつつ県境を越えると新緑の樹林帯が突然消え、左に雄大な浅間の山容が現れた。車で30分、視界を遮るもののない高原にキャンプ場は整備されていた。
コロナ禍はレジャーの様相を変えた。ホテルや旅館は客足激減に苦しみ、逆にキャンプ場は見直され、1人で大自然の中に乗り込むソロキャンプまで脚光を浴びた。もともと「第2次ブーム」とされる中、コロナ禍で過熱気味になった。昨年来、アフターコロナを意識した動きも出ているが、業界では「高止まり」の傾向は続くと読んでいる。
そんな中、浅間山キャンプ場(敷地約1万2千平方メートル)は西武保有の休憩所を2年かけて再整備した。魅力は抜群の眺望で、周辺は全国46地区にある日本ジオパークの一つ「浅間山北麓ジオパーク」内にあり、満天の星空は絶景という。付近には観光名所の鬼押出し園や白糸の滝、足を延ばせば観光地、温泉地として横綱級の軽井沢や草津・万座温泉が控えている。
もちろん大自然の中、天候次第で「浅間おろし」の強風が吹き荒れ、夏でも冷える。「そんな不便さも貴重な体験として受けいれてもらえるようにしたい」。西武と一緒にキャンプ場を運営するR・プロジェクト代表の丹埜倫(たんのろん)氏は、利便性を追求する現代社会だからこそ、逆に「不便益」として楽しんでほしいという。
不便益を楽しむ
そのためにも不快さは極力避ける。用意されたのがキャンプ初心者でも楽しめる各種施設。とんがり屋根の「ジオルームグランピング」はウレタンを内側に外側表面をテント素材で膨らませて加工し、風にも低温にも強く室内にはサイズに合わせたベッドが置かれ、テントは不要。全部で12棟、専用ドッグラン付きもあり愛犬も同伴できる。
ジオルーム宿泊客には別棟のセンターハウスに専用キッチンが利用でき、骨付きチキンカレーなどの食材がレシピ付きで用意されている。さらに専用のシャワールーム棟、日本初という電気自動車(EV)充電器付きのキャンプサイトまでそろっている。
キャンパーにはバイクや自動車で乗り入れられるキャンプサイトがありドッグラン付きも。センターハウスにはコーヒーやホットドッグなどの軽飲食メニューも提供され、キャンプ用の薪も積まれていた。至れり尽くせりの装備だが、薪を積み火をつけるのも、調理するのもセルフだ。
オープン初日の6月2日は台風に見舞われたが、その後は週末や連休を中心に予約が入り始めたという。「夜の星空は本当に美しいです。ジオルームなどの認知度はまだ低いですが、梅雨明け後、本格的な夏場に向け周知をはかりたい」と担当者は意気込んでいる。
筆者:風間正人(産経新聞)
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【アクセス】 浅間山キャンプ場 軽井沢駅からはバス便もありキャンプ場前に停車するが、駅周辺にはレンタカーショップもあり、利用者が多い。《料金》バイクサイト=1区画3000円~▽オートキャンプサイト=1区画5500円~▽ジオルームグランピング=1泊2食(2人)3万3000円~(ドッグラン付きは同条件で3万8500円~)。
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2023年7月12日産経ニュース【味・旅・遊】を転載しています