Immigration Services Agency of Japan 001

Japan is attracting attention as a more affordable destination for immigration. Photo: The building housing Japan's Immigration Services Agency. April 25, Chiyoda, Tokyo. (©Kyodo)

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高額な手数料でトルコの少数民族クルド人の欧米への密航を手引きする違法なネットワークの存在が、現地調査で明らかになった。浮かび上がるのは、トルコ政府からの迫害から逃げ延びてきた難民というより、経済的な観点からトルコを出て北米や日本へ移り住もうとするクルド人もいるという、日本国内の議論では語られない「実情」だ。

 

 

仕事求め

 

「トルコ経済は最悪。弟は高収入を求めて国外に飛んだんだ」

 

トルコ国内に住む40代のクルド人男性は、匿名を条件に、弟がトルコから北米へ密航した詳細を産経新聞に打ち明けた。

 

この男性の弟は30代。2022年末、トルコの最低賃金の3年半分にあたる約1万5千ドル(229万円相当)を遠くメキシコのある組織に支払い、国外への切符を手にした。用意されたのは、大量の偽造書類だったという。

 

トルコではここ数年、インフレが恒常化。今年3月の消費者物価指数が前年同月比で70%近く上昇したほか、昨年2月にはクルド人の多い南部を中心に大地震が発生。内戦が長引くシリアからは、クルド人を中心に300万人以上の難民を受け入れ、経済の停滞が続く。

 

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地震で倒壊した高層住宅=2023年3月2日、トルコ南部アンタキヤ(佐藤貴生撮影)

 

男性の弟も大学卒業後、安定した仕事が見つからず、故郷を離れる決意を固めた。

 

まずトルコから1万キロ超離れたメキシコに空路で向い、査証(ビザ)のないままブローカーの手引きで入国審査を通過。さらに米国国境を陸路で突破し、難民認定を申請。1万数千キロ以上の行程の末、難民と認められた。現在は運転手などをしながら、家族の滞在許可を待っているという。

 

「難民?弟は迫害を受けたこともない、ただの移民だ。仕事のないトルコから豊かな国に向かうのは当然だ」。男性はこう話す。

 

 

北米より安い

 

ただ、支援が充実した国に密航できるのはごくわずか。その意味で、最近は日本が注目を集めている。トルコから日本への入国にはビザが不要で、数十万円程度の航空券さえ手に入れれば正規に入国できるからだ。

 

「日本はビザもいらないから北米よりも安く行けて、仕事ももらえる。手続きに必要な書類もいくらでも偽造できる」とこの男性はいう。実際、人口数万人のトルコのある地区では、住んでいたクルド人の相当数が日本に入国しているといい「親族が呼び寄せたのではないか」としている。

 

 

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