Takeshima Old Map Collection 001

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韓国による不法占拠が続くわが国固有の領土、竹島(島根県隠岐の島町)を日本領と明示した戦後の日本や米国の公的地図を集めた特設サイトが、元外務省所管の外交・安全保障のシンクタンク「日本国際問題研究所」のホームページに「竹島古地図コレクション」として掲載された。調査にあたった島根大の舩杉力修(りきのぶ)准教授(歴史地理学)は「戦後、平和条約を起草した米国が竹島を日本領と認識していたことを改めて裏付ける、重要な資料だ」としている。

 

Takeshima
昭和30年10月発行の国土地理院の地図「日本主部」に記載された竹島。鬱陵島との間に国境線がひかれ、竹島が日本領であることを明確に示している(日本国際問題研究所「竹島古地図コレクション」から)

 

国境線はっきりと

 

昭和30(1955)年10月発行の国土地理院発行の地図「日本主部」(200万分の1)。竹島と鬱陵島との間に国境線が引かれ、竹島は日本領と明示されている。

 

「竹島古地図コレクション」に掲載されたのは、日本地図19点と米国の航空図14点。研究所の委託を受け、舩杉准教授が平成30年から4年がかりで調査、収集したものだ。

 

同研究所などによると、韓国では官民の組織が精力的に古地図を収集。日本語版を含む200点以上の古地図を、竹島が韓国領であるとの主張の裏付けとして公開しており、「『日本の公的な古地図には竹島を日本領として記しているものはない』という一方的な主張が流布されるままになっていた」という。

 

こうした状況を踏まえ、舩杉准教授は「調査の結果、領土の範囲が確定していなかった戦後の占領期を除けば、平和条約発効から現在にいたるまで竹島は日本領と記載されていることが確認でき、韓国側の主張に反論できた」とコレクション公開の意義を強調している。

 

昭和30年10月に国土地理院が発行した地図「日本主部」。竹島が日本領と明確に記されている(日本国際問題研究所「竹島古地図コレクション」から)

 

米国「竹島は日本領」

 

同コレクションに掲載された米国製航空図は、米国国立公文書館が所蔵するもの。国際法上、領土問題に関して第三国の地図は原則、領有権を示す根拠にはならないが、竹島の帰属に関して第三国がどのように認識していたかを示すものとして、重要な意味をもつ。掲載されたのは、1954(昭和29)、55、57、58年などの航空図で、竹島周辺を記した60点のうちの14点だ。

 

これらには、竹島と鬱陵島の間に国境を示す点線が引かれ、鬱陵島側に「KOREA」、竹島側に「JAPAN」と記されている。舩杉准教授は「米国政府が竹島を日本領と認識していたことが明確に確認できる」とする。

 

1952(昭和27)年のサンフランシスコ平和条約の起草過程で、韓国は米国に対し、日本が敗戦により放棄すべき地域に竹島を加えるよう要望。だが米国は、「竹島は朝鮮の一部として取り扱われたことはなく日本領である」として、韓国側の要求を拒絶している。

 

韓国の政府機関や民間組織が、竹島の領有権主張の根拠として公開している古地図などについて、舩杉准教授は「公的地図や民間地図がごちゃまぜに掲載されている。現在の鬱陵島や鬱陵島の東隣の竹島(日本名、竹嶼)を(現在の竹島として)示す地図も掲載されているが、いずれも国際法上、領有権の根拠になるものではなく、ほとんど意味がない」と指摘した。

 

1954年の米国製航空図の拡大版。竹島(Liancourt Rockと表記)周辺が描かれ、日本と韓国の国境線を点線で示し竹島を日本領と示している(日本国際問題研究所「竹島古地図コレクション」から)

 

江戸時代から的確に記載

 

外務省のホームページ(HP)では、「現在の竹島は、わが国ではかつて『松島』と呼ばれ、逆に鬱陵島が『竹島』や『磯竹島』と呼ばれていました(中略)。わが国が『竹島』と『松島』の存在を古くから承知していたことは各種の地図や文献からも確認できます。例えば、経緯線を投影した刊行日本図として最も代表的な長久保赤水(せきすい)の『改正日本輿地路程(よちろてい)全図』(1779年初版)のほか、鬱陵島と竹島を朝鮮半島と隠岐諸島との間に的確に記載している地図は多数存在します」とする。

 

舩杉准教授は今回の調査について、「韓国の官民一体による竹島の領有権主張で、わが国は古地図についての主張に対してきちんと反論してこなかった」と指摘する。日本地図で竹島が日本領と示されるのは当然のことだが、「日本国民の多くはそもそも、こうした地図の存在を知らない」と、広く公開することの必要性を強調した。

 

舩杉准教授は戦前の地図も含めて調査を続けており、同研究所は「(韓国側の主張に対抗するため)韓国の古い地図もあわせて収集、公開していければ」としている。

 

筆者:松田則章(産経新聞)

 

 

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