Equinox 1223

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12月25日、第67回有馬記念(中山2500メートル芝、GⅠ)が開催される。JAPAN Forwardでは3歳の気鋭、イクイノックスに注目。週刊ギャロップの記事を紹介する。

 

 

待望のGⅠ初制覇を決めた天皇賞・秋から約2カ月――。天才肌の3歳馬イクイノックスが今度はグランプリの舞台に照準を定め、再び古馬の強者たちに真っ向勝負を挑む。

 

その天皇賞・秋は大逃げを打ったパンサラッサ(2着)が粘り込む展開の中、外から上がり3ハロン32秒7の末脚で猛追。その差をグイグイと詰めていき、きっちりと仕留めた。木村哲也調教師は「あのような特殊な展開になったけど、最後にハナ差とかではなく、1馬身差で勝ったのが素晴らしかったと思います。正直、また2着かと思った瞬間もありましたけどね。ホッとしました」と安堵する。

 

激戦の翌週には福島県のノーザンファーム天栄に移動し、馬体や脚もとのダメージなどを入念にチェック。オーナーサイドとの協議で中3週のジャパンCは見送り、年末の大一番にターゲットを定めた。体質的な部分も踏まえ、適度に間隔を取りながら使っていくのは今まで通りのパターンだ。

 

イクイノックス=12月18日、美浦トレーニングセンター(撮影・田村亮介)

 

12月1日に帰厩し、1週前(14日)の追い切りには主戦のクリストフ・ルメール騎手が騎乗。開門直後の深いモヤが立ち込める状況の中、Wコースで8ハロン112秒9、ラスト1ハロン12秒0を計時した。引き揚げてきた鞍上は「どうでしたか?」と言えば、出迎えた指揮官は笑顔でサムズアップのポーズを送る。「スタンド前からの追い切りは普段と同じ。全体の時計も含め、やりたい通りの調教ができた。天皇賞のときはレースの10日ほど前にカイバの食いが安定してきたようなところもある。その点、今回のほうが体調自体は安定している感じ。春先は皮膚病が出たり、カイバの量が日によって変動したりもしていたけど、そういうところがなくなってきています」と目を細めた。その一方、依然として背腰のトップライン(肉づき)などに物足りない部分も感じているようだが、全体的に見れば順調な成長曲線を描いていることは確かだ。

 

 

イクイノックス=12月14日、美浦トレーニングセンター(撮影・菅原和彦)

 

天皇賞のレース前、トレーナーは『イクイノックスは学校から帰ったら話を聞いてあげなきゃいけないような子。でも、彼は天才肌です』と表現した。まさに天才ぶりをアピールしたが、GⅠ馬になっても〝会話〟は大事な日課のひとつだ。「きょうは学校(調教)に行けるのか? ちゃんとカイバは食べられたのか? 毎日、そんな感じで話を聞いてあげていますよ(笑)。ちょっと自信がついてきたのか、たまに強さを見せるようなところも出てきましたけどね」と白い歯をこぼす。

 

中山の芝2500㍍はトリッキーな舞台設定として知られるが、そんなことよりもコンディションを整えることが先決だ。

 

日本ダービーでは2着となったイクイノックス(左)=5月29日、東京競馬場

 

「コースがどうであろうと管理の仕方は大きく変わらない。まずはイクイノックスの状態を良くすること。そこ一本だと思っています。春のダービーとは違い、天皇賞ではゲートからの出脚を改善することができた。それ自体も一番は体調が良かったからこそ。今回も普段の調教量や馬具をどうするとか、いろいろなことを模索しながら最善を尽くしていきます。1週前の追い切りが無事に終わったけど、ここから先が短いようで実は長い。われわれにとっては一日一日が長く感じる。その毎日を有意義に過ごし、いい状態で当日を迎えられるようにすることを考えていきたい。ファン投票(3位)の数字には勇気をもらえるし、厩舎にも応援の手紙が届く。皆さんの期待に応えられるよう、しっかりと目標のレースに向かっていきたいと思います」

 

ここを勝てば年度代表馬の座も見えてくる。厩舎力を結集し、天才少年を万全の状態で送り出すことに全力を注ぐ。

 

筆者:和田稔夫(週刊ギャロップ)

 

 

「週刊Gallop」は、産経新聞社が「サンケイスポーツ特別版」として発行している競馬専門の週刊誌。1993年10月に創刊され、多くの日本の競馬ファンに愛されています。

 

 

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