「犠牲者追悼のつどい」でろうそくに火を灯す参加者ら=1月16日、兵庫県伊丹市の昆陽池公園(川村寧撮影)
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平成7年に起きた阪神大震災から31年となった。
震災の記憶は、30年もたつと世代交代が進み、継承が難しくなるとされる。「30年限界説」という。だが、1月17日は決して忘れてはならない日だ。6434人の犠牲者を、改めて追悼したい。
戦後最大の都市型震災だった。高速道路や駅舎が倒壊し、神戸の街の至る所で炎が上がった。行政機関も被災し、政府や自治体の対応は後手に回った。救出された人の8割は消防や警察、自衛隊ではなく、家族や近隣住民らによって助けられたという調査結果もある。
しかし今、少子高齢化など社会環境の変化により、共助の「地域力」が課題に直面している。神戸市が昨年行った調査では、震災を機に立ち上げられた自主防災組織「防災福祉コミュニティ(防コミ)」の6割近くが、大規模地震の発生時の消火活動は困難だと回答した。

同市では、震災前に比べて20歳未満の人口が約23万1000人と6割程度まで減少する一方、75歳以上は増加し続け、約3.7倍の約25万6000人に上る。防コミの4割超が数年以内には活動の継続が困難になるとし、半数近くは後継者が確保できていないと回答した現状は深刻だ。
政府は11月に内閣直下組織の防災庁を発足させる計画である。事前防災から復興までを一貫して担う司令塔と位置づけられるが、各地で弱体化が進む「地域力」をいかに補完するかも重要な視点だろう。阪神をはじめとする過去の災害の教訓を生かした組織体制づくりを進めてもらいたい。
阪神大震災の人的被害の大半は「圧死・窒息死」だった。耐震改修促進法が制定され、インフラの耐震補強工事が進められた。各家庭でも家具の固定が推奨された。それぞれの「防災」を万全なものとしたい。
わが国は災害大国だ。首都直下地震、千島海溝地震、南海トラフ巨大地震のいずれも、高い確率で発生が想定されている。昨年12月には青森県東方沖を震源とするマグニチュード(M)7.5の地震があり、今月6日には島根県東部を震源とするM6.4の地震があった。
3月11日には東日本大震災から15年となる。「備え」と避難の大切さを、日本を挙げて再認識しなければならない。
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2026年1月17日付産経新聞【主張】を転載しています
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