Russia

A Russian flag is held above the Olympic Rings at Adler Arena Skating Center during the Winter Olympics in Sochi, Russia on Feb. 18, 2014. Russia and its ally Belarus have been invited to compete at the Asian Games in the next step to qualify athletes for next year's Paris Olympics. One year after the invasion of Ukraine began, Russia's reintegration into the world of sports threatens to create the biggest rift in the Olympic movement since the Cold War. (AP Photo/David J. Phillip, File)

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日本のスポーツ界に求められているのは決して難しい判断ではない。

 

ウクライナへの侵略と同国内での戦争犯罪を重ねるロシアを、全ての国際舞台から排除する。その一点での結束を、世界のスポーツ界に呼びかけることだ。

 

いま救わなければならないのは、ロシア選手の権利ではない。この瞬間も自由を抑圧され、命の危険にさらされているウクライナの人々である。

 

ウクライナ・オリンピック委員会が、国際オリンピック委員会(IOC)や各国・地域オリンピック委員会に宛てて、ロシア選手らの除外継続を求める書簡を送った。日本オリンピック委員会(JOC)も受け取ったことを認めているが、いまだに行動を起こしていない。どういう了見なのか。

 

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定例記者会見をするJOCの山下泰裕会長=2月14日、東京都新宿区(共同)

 

山下泰裕会長の危機意識の乏しさは相変わらずだ。2月14日の定例記者会見で「世界の国々が納得できる形を慎重に議論していかないといけない」と述べ、ロシア勢らの復帰を検討するIOCの方針には賛意を示した。

 

ウクライナの惨禍を直視しているとは思えない。IOC委員でもある山下氏の言動は、日本スポーツ界の総意と受け取られかねず、極めて問題のある態度だ。

 

体操とレスリングのロシア連盟会長は、中国・杭州で開かれるアジア大会(9~10月)に出場の招待を受けたという。同大会を統括するアジア・オリンピック評議会の前傾姿勢を、IOCは歓迎している。来年のパリ五輪参加に道を開く意図が見え見えの、あまりに強引な地ならしである。

 

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2018年9月、ジャカルタ・アジア大会の閉会式で、引き継がれた大会旗を振る中国・杭州の関係者(共同)

 

山下氏の認識では、採点競技や記録を争う競技で、順位をつけない形での受け入れが検討されているという。仮に対人競技のレスリングが含まれるなら、ロシア勢の勝敗が大会の結果を変える。話が全く違うではないか。情報収集という点でも、JOCの無能ぶりを証明することになろう。

 

そもそも、アジア大会を復帰の舞台に利用させてはならない。IOCは既成事実をもってウクライナの抗議に蓋をしようとしている。自由や公平公正を前提とするスポーツの自殺行為だ。

 

パリ市長はパリ五輪へのロシア勢参加を拒む意向を表明した。JOCが指をくわえて成り行きを見守ることは許されない。山下氏ができないのなら、他の人々が代わって行動を起こすべきである。

 

 

2023年2月22日付産経新聞【主張】を転載しています

 

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