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沖縄県北部の無人島、屋那覇島が注目されている。島の約半分を東京都内の中国系企業が取得したためだ。
この島は安全保障上重要な土地の利用を規制する土地利用規制法の対象外だが、松野博一官房長官は記者会見で、「関連動向について注視していく」と語った。
沖縄の島々は中国が海洋進出を図る第1列島線上にあり、どのように利用されるかは、日本の安全保障に関わる。政府には懸念を常に払拭する対応が望まれる。
昨年施行された土地利用規制法では、自衛隊基地や重要インフラ施設の周辺約1キロと国境離島を「注視区域」とし、土地所有者の国籍や氏名、利用状況を調査できる。特に重要な箇所は「特別注視区域」に指定し、不動産売買時には事前に国籍や氏名を届け出ることを義務付けている。
だが、官房長官が「注視」すると明言した屋那覇島は指定外だった。令和3年2月に中国系企業が島のおよそ半分を購入したとされるが、それが分かったのも、関係者とみられる中国人女性が今年1月末、動画投稿アプリで島の様子を映し、「島を購入した」と発信したのがきっかけだ。
政府は事前に把握もできておらず、注視するといっても土地利用規制法上の対応はとれない。会見でできもしないことを言って、ごまかしているだけではないかと勘繰られても仕方あるまい。
屋那覇島は、沖縄本島から約20キロ西の東シナ海側に位置する。購入した中国系企業のホームページによると、同島でリゾート開発計画を進めるのだという。
だが、この島の周辺の海は浅く、重機を搬入する船舶が接岸できる港湾施設はない。中国系企業が購入した土地は虫食い状態で、売却を拒む地権者も存在している。直ちに安保上懸念のある施設の建設などが行われるとは考えにくい。ただし、無人島は周囲の目が行き届きにくい点は常に忘れてはならない。
中国には、共産党政権が有事と認めた際、海外在住の中国国民が所有する土地や施設を徴用できると定めた国防動員法や国家情報法が存在している問題もある。
今回の事案で土地利用規制法がザル法であることが改めて分かった。政府は法律の不備を直視し、日本と国民を守るため十分な手立てを講じなければならない。
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2023年2月26日付産経新聞【主張】を転載しています