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林芳正外相は9月9日(日本時間同)、ロシアによる軍事侵略を受けるウクライナを訪問し、首都キーウでクレバ外相と会談後、共同記者会見に臨んだ。林氏は、ウクライナの復旧・復興を支援するため、外務省内に「ウクライナ経済復興推進室」を新設すると表明した。
林氏は記者会見に先立ち、ゼレンスキー大統領と面会したと述べた。先進7カ国(G7)が7月に北大西洋条約機構(NATO)首脳会議で発表したウクライナ支援に関する共同宣言に基づき、日ウクライナの2国間文書の交渉を開始することで一致したと明らかにした。
また、電力不足の中で厳しい冬を迎えるウクライナに対し、9月中にも大型変圧器施設2基を供与する予定だと伝えた。
ロシアによる侵攻開始以降、日本政府の要人でウクライナを訪問したのは、3月の岸田文雄首相以来。
同国の復旧・復興に民間投資を呼び込むため、楽天の三木谷浩史会長兼社長ら日本企業の関係者も同行した。
林外相は年内に開かれるG7外相会合を見据え、ウクライナへの支援と対露制裁を維持・強化するため、G7や同志国の結束を主導したい考えだ。
来年初めに日本で開催する「日ウクライナ経済復興推進会議」に向けた連携も図る。林氏に同行する日本企業とウクライナ側との意見交換の場も設ける。
ウクライナが昨年11月に提示した領土の回復など10項目で構成される和平案「平和フォーミュラ(公式)」を巡る取り組みを加速させ、日本と関係の深いアジア各国に支持を広げたい考えだ。
林氏はキーウ近郊ブチャも訪れ、ロシア軍による民間人虐殺があった現場を視察し、献花した。また、ウクライナ非常事態庁に供与する不発弾処理用のクレーン付きトラック約20台の引渡式に出席、スビリデンコ第1副首相兼経済相やクブラコフ副首相兼インフラ相との夕食会で意見交換を行った。
筆者:原川貴郎(産経新聞)