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最大震度7を観測した能登半島地震の発生から2週間となる。行方不明者の捜索や救助活動が続く中、降雪などにより被災地の環境は一段と厳しさを増している。
とくに懸念されるのは、道路の寸断などで孤立した地域が現在も多数あることだ。食料や燃料などの支援物資も十分には届いていないという。政府と自治体は連携し、孤立した地域の救援に全力で努めてほしい。
石川県によると、道路の陥没や土砂崩れなどで車両が通行できず、孤立状態となっている同県の住民は9日午後2時現在で3123人もいる。
中でも輪島市や珠洲(すず)市など能登半島先端の「奥能登」と呼ばれる地域は道路が少ないうえ、海沿いのルートが津波被害などで寸断されており、孤立が多く状況も深刻だ。
このため自衛隊がヘリコプターで支援物資を運んだり、負傷や病気の住民を病院などに搬送したりしている。海自のエアクッション艇(LCAC)も輪島市の海岸に重機などを陸揚げし、陸路で行けない場所の復旧作業を急いでいる。
こうした空と海からの活動は有効であり、救援体制を強化すべきだ。警察や消防などによる活動にも期待したい。
孤立状況を解消するため、住民をヘリなどで安全な地域に移送することも進めなければならない。孤立した地域では燃料不足のほか、断水などでトイレが使えず、状況は日を追うごとに悪化している。
岸田文雄首相は9日の非常災害対策本部会議で、厳しい環境にある高齢者や妊婦、病気の人などを最優先に、他の地域への2次避難を促進するよう関係機関に指示した。
石川県だけでは収容人数に限界があり、県外にも避難先を増やすべきだ。各自治体は協力し、宿泊施設の確保と受け入れに努めてほしい。
また、被災した住民の不安解消のため、無人となった留守地域を含むパトロールの強化も欠かせない。
孤立地域の救援には、ドローンを積極活用することも有効だろう。連絡が取れなくなった住民が取り残されているかもしれず、上空からくまなく捜索すべきである。動けなくなった車も一台一台確認し、助けが必要な人を見落としてはならない。
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2024年1月10日付産経新聞【主張】を、一部情報を更新して転載しています