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台湾総統選で与党・民主進歩党の頼清徳(らいせいとく)氏が勝利したことを受け、上川陽子外相は1月13日、談話を発表した。頼氏に祝意を示すと共に、両岸問題の平和的解決を求めた。中国が軍事的圧力を強め、台湾海峡を巡る情勢が緊迫化する中、政府は総統選後の中国の動向を注視している。
談話は頼氏の当選と「民主的な選挙の円滑な実施」に祝意を表し、「台湾は基本的価値を共有し、緊密な経済関係と人的往来を有する極めて重要なパートナーで、大切な友人だ」と強調。「日台間の協力と交流の更なる深化を図っていく」とした。
中国の軍事活動の活発化で、台湾海峡の緊張は4年前の総統選時と比べて格段に高まっている。談話は「台湾を巡る問題は対話により平和的に解決されること、地域の平和と安定に寄与することを期待する」と呼びかけた。
12日(日本時間13日)に米ワシントンで開かれた上川氏とブリンケン米国務長官との会談でも台湾情勢が議題となり、台湾海峡の平和と安定の重要性を強調した。
頼氏はこれまで日本を重視する姿勢を示しており、政府としても日台の協力を強化する。ただ、日台は外交関係がなく、政府間の公式な対話枠組みもない。邦人退避や台湾の避難民の受け入れなど、有事を想定した日台連携をいかに進めるかは今後の課題になる。
中国は4年前、再選した蔡英文総統に日米英の政府高官らが祝意を示したことに関し、外務省報道官が「強い不満と断固とした反対」を表明した。
政府は中国は台湾統一へ武力行使の可能性を否定していないとみており、今後の中国の動きを注意深く見守る構えだ。
筆者:原川貴郎(産経新聞)