20240128 Osaka Womens Mararhon 001

Honami Maeda finished second at the Osaka International Women's Marathon, breaking the national record for the first time in 19 years. January 18, Yanmar Stadium Nagai. (©Sankei by Kan Emori)

~~

 

大阪国際女子マラソンで、前田穂南が2時間18分59秒の日本新記録をマークした。

 

19年前に野口みずきが樹立した19分12秒を更新し、初の18分台に突入した。

 

前田はレース前から目標を「アレ」と言い続けた。兵庫県尼崎市の出身らしく優勝の目標を「アレ」と口にしてきた阪神の岡田彰布監督にならったものだ。

 

今夏のパリ五輪への女子マラソン枠は残り1つだが、前田の「アレ」は代表条件の21分41秒以内ではなく日本記録のことだと母には事前に告げていた。

 

常識破りの展開だった。高速レースを先導するペースメーカーを21キロで置き去りにし、単独で飛び出した。31キロ過ぎでエチオピアのエデサにとらえられたが、離されることなく、追い続けた末の快記録である。

 

写真に「アレ」と書きポーズをとる前田穂南=1月29日午前、大阪市中央区のホテルニューオータニ大阪(根本成撮影)

 

2001年、高橋尚子が女子では世界で初めて20分の壁を破り、04年の渋井陽子、05年の野口が続いた。これらは全て、比較的平坦(へいたん)で男女混合のベルリン・マラソンの記録だ。以来記録は伸び悩んだが、昨年1月、新谷仁美が男女混合のヒューストン・マラソンで野口の記録に迫る19分台で走った。

 

誰かがふたをこじ開ければケチャップはドバドバ出てくる。前田の記録はそんな過程にあり、加えて国内の女子単独レースでマークしたところに真の価値がある。3月の名古屋ウィメンズマラソンで五輪代表が決まるが、前田の記録を上回ることが条件となる。こうして全体の競技力が向上していく。

 

世界の女子マラソンは11分台まで記録を伸ばしているが、女子単独レースでの18分台は、トップに手が届くタイムといってよく、さらなる常識破りを五輪本番で期待したい。

 

同じ1月28日、卓球の全日本選手権が最終日を迎え、パリ五輪を戦うシングルスの男女代表選手が内定した。注目の女子では優勝した早田ひなと、平野美宇が代表入りを確実とし、東京五輪のエース、伊藤美誠は選考ポイント3位に甘んじた。

 

全日本選手権でプレーする早田ひな=1月26日、東京体育館(共同)

 

同年の3人は幼少時から切磋琢磨(せっさたくま)を続け、16年リオデジャネイロ五輪では平野が、21年東京五輪では早田が補欠として、伊藤ら代表選手を支えてきた。伊藤が団体戦要員として代表に加わるかは未定だが、こうしたドラマが全ての競技にある。その集大成がオリンピックだ。

 

 

2024年1月30日付産経新聞【主張】を転載しています

 

この記事の英文記事を読む

 

 

コメントを残す