4月17日に投開票が行われたインドネシア大統領選は、現職のジョコ氏と元軍幹部の最大野党党首、プラボウォ氏の一騎打ちとなり、ジョコ氏が再選を確実とした。だが、インドネシア経済は伸び悩みの状況が続き、選挙で示されたイスラム保守勢力の伸長も、格差拡大への不満ゆえと指摘される。何より安定し、民主国家として成長することを望みたい。
Joko Widodo

 

4月17日に投開票が行われたインドネシア大統領選は、現職のジョコ氏と元軍幹部の最大野党党首、プラボウォ氏の一騎打ちとなり、ジョコ氏が再選を確実とした。

 

ジョコ氏は政治エリートでも軍出身でもなく、1期目は同国初の「庶民派大統領」であること自体、民主化の側面から意味があった。5年の経験を経て2期目に期待されるのは東南アジアの地域大国トップとして一層の指導力発揮である。

 

覇権を追求する中国と正面から向き合わねばならないのがこの地域だ。中国はインフラ支援に絡め各国に浸透を図り、軍事力を背景に強引な海洋進出を進める。

 

法の支配を貫き、自由、民主主義を守らねばならない。東南アジア諸国連合(ASEAN)の中核国でもあるインドネシアの役割は大きく、日本もそうした観点からの支援を惜しんではならない。

 

ジョコ政権は経済成長の原動力としてインフラ整備の推進を掲げたが、日本が商談で先行していた高速鉄道建設が、二転三転し、中国に受注をさらわれたことは記憶に新しい。高速鉄道建設はその後、ずさんな計画が露呈し、工事は大幅に遅れることになった。

 

代わって成果となったのは、日本の支援で完成したジャカルタの地下鉄である。選挙直前の3月に開業した。

 

インフラ整備で目先の利益に惑わされてはならない。ジョコ氏には大きな教訓になったことだろう。インドネシアの2つの鉄道建設の対比は、日本の質の高いインフラ支援を如実に物語っている。インドネシアでの「成功」を積極的にアピールしていきたい。

 

インドネシアのもう一つの重要性は安倍晋三政権の進める「自由で開かれたインド太平洋」の中心に位置する海洋国家だということだ。中国が軍事拠点化を進める南シナ海の沿岸国でもある。航行の自由を守るため、米国や他の沿岸国を含めた連携が欠かせない。

 

1998年のスハルト政権崩壊以降、4度目の直接選挙であり、民主化は定着しつつある。プラボウォ氏はスハルト氏の元娘婿で、独裁政権下で蔓延(まんえん)した縁故主義への嫌悪感も敗因の一つだろう。

 

インドネシア経済は伸び悩みの状況が続き、選挙で示されたイスラム保守勢力の伸長も、格差拡大への不満ゆえと指摘される。何より安定し、民主国家として成長することを望みたい。

 

 

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