江戸時代の宿場町の面影を残す馬籠(まごめ)宿(岐阜県中津川市)をたち、石畳の坂を踏みしめ山に入った。熊よけの鐘を鳴らしつつ林道を縫い、ひなびた長屋やこぢんまりとした田んぼを横目に集落を通り抜ける。県境の峠を越え山間の茶屋で一服して、妻籠(つまご)宿(長野県南木曽(なぎそ)町)に下りてきた。約9キロ、3時間ほどのハイキングコースだ。道すがら、多くの外国人とすれ違った。
「江戸時代の旅を味わえる」と、旧中山道の宿場町、馬籠宿と妻籠宿を結ぶハイキングコースが外国人観光客に人気だ。「インターネットで評判になっていたので来ました」。スペインから訪れたディエゴ・ブランコさんとエレナ・ヒゲラさんは、初の日本旅行にこのコースを盛り込んだ。2人は「昔の街並みだけでなく、自然や生活の様子も楽しめました」と笑みを見せた。
妻籠宿の住民がつくる「妻籠を愛する会」がこのコースを歩くハイカーの数を調査したところ、平成26年度には約1万3000人だった外国人客数が昨年度は約3万1000人にのぼった。日本人客が減少するなか、外国人が全体の6割超を占めている。
愛する会が道中で運営する茶屋のボランティア、渡辺千俊さん(61)は「英BBC放送に紹介され人気に火が付いたようですが、急に増えている状況にびっくりしています」と目を丸くしていた。
筆者:松本健吾(産経新聞写真報道局)
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