「史上最大の番狂わせ」と呼ばれた4年前をほうふつさせるパフォーマンスを、日本が演じた。優勝候補のアイルランドを撃破すると「バンザイ」とともに地響きのような歓声が選手たちを包む。過去最多の外国出身選手と、日本選手が「ワンチーム」となり、新たな歴史を刻んだ。
大金星とはいえ、前回の南アフリカ戦の勝利とは意味合いが異なる。当時の日本はW杯で通算1勝しかしていないチーム。優勝2回の強豪には油断があり、前回も主将を務めたリーチ・マイケルは試合後、相手から「サモア戦のことを考えていた」と聞かされたという。
この日は、そのリーチ主将の途中出場が反撃の合図となった。3-12の前半30分に途中出場すると、分厚い「緑の壁」に鬼気迫るタックルを繰り返す。チームは鼓舞されたように好タックルを連発し、チーム唯一の福岡堅樹のトライにつなげた。
アイルランドの圧力にもセットプレーで優位に立てた。外国出身選手のパワーと日本の素早さなど、持ち味が一体となることで、日本独自の「ラグビー」が生まれている。
「やってきたことを全て出した。意思統一できたことも勝因」とリーチ主将。日本選手と外国出身選手が融合し「多様性の強さ」を発揮したからこその歴史的勝利、もはや奇跡ではない。
筆者:奥村信哉(産経新聞)