Voting general election

投票所で投票する人たち=10月27日午前、東京都世田谷区(鈴木健児撮影)

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先の衆院選の小選挙区の投票率は53・85%で、戦後3番目に低い水準となった。18、19歳の投票率は抽出調査で43・06%だった。

投票率は戦後60~70%台で推移したが、平成8年の衆院選で初めて60%を下回った。50%台となったのは5回連続である。

有権者の半数近くが投票に行っていないのは民主主義の危機だ。各政党、議員は事態を深刻に受け止めねばならない。有権者はもっと自分の一票を重んじ、投票してもらいたい。政府は電子投票の導入など打開策も本格的に検討すべきである。

日本記者クラブで行われた党首討論会。政策を訴える立憲民主党の野田佳彦代表(手前)。奥は自民党の石破茂総裁=10月12日午後、東京都千代田区(安元雄太撮影)

自民党の派閥パーティー収入不記載事件とその後の対応で、政治への信頼は大きく損なわれた。政治不信が投票率の低下に拍車をかけている。

石破茂首相は予算委員会を開かず衆院を解散したため、外交・安全保障を含む多くの政策課題の議論は深まらなかった。有権者に政策上の争点を十分示せなかったことも、投票離れを招いた一因だろう。

与党の議席は石破首相が目標にした過半数に届かなかった。このまま首相が辞任せず、政権に居座り続ければ、政治に対する信頼はより低下し、各種選挙にさらなる悪影響を及ぼすのではないか。

兵庫県知事選の候補者の演説に耳を傾ける有権者ら=10月31日午後、神戸市中央区(彦野公太朗撮影)

低投票率の原因はほかにもある。衆院選は政権選択選挙だ。政権交代を訴えて戦った立憲民主党の基本政策が非現実的で、同党が政権を託すに足る存在ではないことも大きい。

18、19歳の若者の投票率が全国平均より10ポイントも低かったのは残念だ。選挙権年齢を「20歳以上」から「18歳以上」に引き下げる改正公職選挙法が平成28年に施行されてから3回目の衆院選だったが、3回連続で40%台にとどまった。

衆院選から一夜明け、記者会見する自民党総裁の石破茂首相(左)=10月28日午後、東京・永田町の党本部(春名中撮影)

高齢層の投票率は高く、若者の投票率が低い傾向はかねて続いている。少子高齢化を背景に、人口が多い高齢層の投票率が高ければ、高齢の人ばかりを重視する政治となり、人口が少ない若年層の投票率が低ければ、日本の将来を見据えた政策は実現されにくくなる。

若者は日本国の一員であることを自覚すべきだ。国際情勢や防衛政策、国民の暮らしに直結する身近な課題などに関心を持ち、投票を通じて国づくり、地域づくりに積極的に参画してもらいたい。

2024年11月8日付産経新聞【主張】を転載しています

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