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太陽系最大の惑星である木星を周回する衛星イオは、火山活動が活発なことで知られる。イオからは火山性ガスが宇宙空間に放出されており、その継続的な変化を東北大などの研究チームが20年以上も観測してきた。使用しているのは、さまざまな部品を組み合わせて自作した口径10センチの小型望遠鏡。高額な大型望遠鏡や探査機には不向きなイオの長期観測に特化したことで、このほど新たな事実が判明し、米国天文学会の学術誌に論文を発表した。
大型望遠鏡はイオの観測に特化できない
イオは直径約3600キロで月とほぼ同じ大きさだが、地球外では初めて火山が発見されたことで知られる。過去の観測で200以上もの火山が存在するとされ、「ロキ」「ペレ」「アマテラス」といった名前が付けられている。これほど火山が多いのは、巨大な木星の潮汐(ちょうせき)力によってイオ全体が伸縮し、内部にマグマが生じているからとされる。
これまでイオには米国の探査機「ボイジャー」や「ガリレオ」「ジュノー」などが相次ぎ接近しているほか、地球上からも各地の大型望遠鏡などによる観測が行われてきた。一方、これらは多くの研究者による多種多様な観測の要望に応えるため、イオだけを観測し続けることはできない。
筆者:小野晋史(産経新聞)
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2024年11月2日付産経ニュースの記事より
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