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米国に拠点を置く人権団体「南モンゴル人権情報センター」は1月30日、中国内モンゴル自治区で高度な自治実現を目指し、公安当局に軟禁されている南モンゴル民主連盟代表のハダ氏(69)について区都フフホトの病院に緊急搬送されたと発表した。ハダ氏は日本の国会議員の推薦で今年のノーベル平和賞候補となっている。
多臓器不全の疑い
同センターは30日、酸素マスクを付けて集中治療室に横たわるハダ氏とみられる姿や太ももの写真も合わせて公開した。ハダ氏の妻から入手したといい、太ももには打撲傷とみられる紫色のあざが映っている。
妻によれば、中国の保健当局は25日にハダ氏が危篤状態にあることを伝え、妻は病院の集中治療室で意識をほとんど失った状態のハダ氏と面会したという。多臓器不全の疑いがあるといい、原因については明かされなかった。
ハダ氏は1980年代から中国の憲法で保障されている南モンゴルの民族自決権の回復を言論活動を通して主張し、95年に逮捕された。刑期を終えた後も中国当局が管理するアパートで軟禁されているという。
無償で治療し解放を
30年間自由を奪われても平和的に抵抗活動を続けるハダ氏は「南モンゴルのネルソン・マンデラ」と呼ばれ、自民党の山田宏参院議員ら4人の与野党議員はノーベル平和賞候補に推薦し、1月26日にノルウェーのノーベル委員会に受理された。
中国の弾圧政策に抗議する民族団体「南モンゴルクリルタイ」(世界南モンゴル会議)は今月1日、中国政府に対する抗議声明を出し、ハダ氏に適切な治療を無償で施した上で、軟禁状態を解くことを求めた。
中国では作家で人権活動家の劉暁波氏が収監中の2010年にノーベル平和賞を受賞し、獄中のまま17年に死去した。
人権情報センターはハダ氏の健康状態について「拘禁と自宅軟禁の過酷な環境により、著しく悪化している」と指摘している。
筆者:奥原慎平(産経新聞)
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