欧州メディアがによると、ドイツの高級スポーツカーメーカー、ポルシェが2029年までに約1900人の従業員を削減する。EVの販売が振るわないことが浮き彫りとなった。
TKJVOIWTRFPCNDYAJTZA7HOZMU

インドの自動車ショーに展示されたポルシェのEV「タイカン」=1月17日、ニューデリー(ロイター)

This post is also available in: English

ついにあのポルシェまでもが…。欧州メディアが2月、ドイツの高級スポーツカーメーカー、ポルシェが2029年までに約1900人の従業員を削減する方針であると報じた。電気自動車(EV)「タイカン」を製造するドイツ南部シュツットガルトの工場と郊外の研究開発センターが対象で、早期退職などを通じて実施するという。

ポルシェといえば技術的に妥協を許さない開発姿勢で世界中のクルマ好きに愛されるブランド。常に革新的な新型車を生み出すことから、クルマ好きの間で「最新のポルシェは最良のポルシェ」という格言?まで生まれているほどだ。そんなポルシェでもEVの販売は振るわないことが浮き彫りとなった。

日本勢をごぼう抜きに

電動化を主導してきたはずの欧州自動車メーカーがEVで苦戦している。ポルシェの親会社、独フォルクスワーゲンも30年までに従業員3万5千人の削減を決定。同社の24年12月期決算はEVの不振などで純利益が前期比32・8%減となった。欧州ではEVの生産能力が過剰となり、ボッシュやZFなどの大手部品メーカーも相次いでリストラを打ち出している。

この状況を生み出した要因が、エンジン車では存在感の小さかった中国メーカーの台頭だ。特に日本でもCMが話題になった比亜迪(BYD)の勢いがすさまじい。低価格を武器に世界を席巻しており、24年の販売台数は前年から約4割増の約427万台でホンダや日産自動車、スズキといったトヨタ自動車以外の日本の大手を抜き去った。

欧州や日本メーカーはエンジン車では最大市場の中国を制していたが、EVでは急速に中国市場での存在感を失っている。部品点数が少ないEVは開発のハードルが低く、中国では他業種やベンチャーの参入も相次ぐ。日欧の家電製品はかつて隆盛を誇ったが低価格を武器にした中国メーカーに駆逐された。EVでその二の舞いが懸念されている。

この記事の続きを産経ニュースで読む

筆者:藤原直樹(産経新聞報道本部次長)

2025年3月20日産経ニュース【西論プラス】より

This post is also available in: English

コメントを残す