
衆院法務委員会で答弁する鈴木馨祐法相=4月23日、国会内
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鈴木馨祐法相は4月23日の衆院法務委員会で、短期滞在ビザ(査証)が免除される外国人観光客に対し、渡航前に入国の可否を審査する制度の導入時期を当初予定した2030年から28年度に前倒しする考えを示した。「システム開発の検討を加速し、急増する訪日外国人旅行者数に対応するため2028年度中の導入を目指したい」と述べた。自民党の中野英幸衆院議員の質問に明らかにした。

制度の名称は日本版ESTA(JESTA、仮称)で、査証免除国の外国人に入国目的や滞在先などをオンラインで渡航前に申告させて審査する。不法滞在の恐れなどがあれば出国に必要な渡航認証を与えず、正規の査証取得を促す。法務省は、米国がテロ対策などを目的に導入した電子渡航認証制度「ESTA」を基に開発・導入を目指している。
鈴木氏はJESTAについて「テロリストや不法滞在を企図する好ましくない外国人の来日を防止するもので、厳格な出入国在留管理の実現に資する」と述べ、「入国審査の円滑化の観点からも有意義だ」と強調した。
外国人の査証は現地で審査・発行されるが、トルコなど71カ国・地域で観光など短期滞在に限って免除されている。観光名目で査証免除国から来日して不法滞在する例は後を絶たない。24年1月現在の不法滞在中の短期滞在者4万9801人のうち、査証免除国から訪れたのは2万8千人以上となっている。
JESTA導入を巡っては「リスクのある渡航者を選別できるが、導入に時間がかかり過ぎ」(自民党の塩崎彰久衆院議員)などの声が上がっていた。
筆者:奥原慎平(産経新聞)
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