産経新聞が実施した主要企業アンケートで、海外企業などが日本企業に仕掛ける対日M&Aについて、約7割が今後も「増える」と回答した。昨年末に実施した前回から約10ポイント上昇した。
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セブン&アイ・ホールディングスに買収提案しているカナダのコンビニ大手アリマンタシォン・クシュタール幹部の記者会見。主要企業アンケートでは、対日M&Aが増えるとの見方が多い=3月13日、東京都港区(三尾郁恵撮影)

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産経新聞は3月中旬~4月中旬、主要企業アンケートを実施し、107社が回答した。

海外企業などが日本企業に仕掛ける対日M&A(企業の合併・買収)については、約7割が今後も「増える」と回答し、産経新聞が昨年末に実施した前回の主要企業アンケートから約10ポイント上昇した。一方で、同意なき買収を防ぐ防衛策を「導入している」との回答は3・7%にとどまり、対策が進んでいない現状も浮かび上がった。

昨年、セブン&アイ・ホールディングスがカナダのコンビニ大手アリマンタシォン・クシュタールから買収提案を受けたことで、対日M&Aの脅威が改めて表面化した。「全ての企業が〝フォーセール(売り出し中)〟となった」(メガバンク幹部)との言葉通り、買収の脅威と無関係でいられる企業はもはや存在しないとの認識が広がりつつある。アンケートでも、今後の対日M&Aについて「減る」と回答した企業はなかった。

ただ、買収防衛策を導入・検討しているかについての質問では、「何も決めていない」と回答した企業が34・6%に上り、「導入している」「導入を検討している」とした企業は計約13%にとどまった。円安や人手不足といった対日M&Aへの追い風が急速に吹いたことで、対応が追い付いていない企業が多いとみられる。

一方、売り上げのみを重視し経営効率への意識が低い日本企業をターゲットに近年活動を活発化させるアクティビスト(物言う株主)については、54・2%の企業が「対策を取っている」と回答。「資本コストや株価を意識した経営を行っている」(運輸・郵便業)といった声が寄せられた。

企業価値向上へ向けた取り組みは、政府や東京証券取引所も後押しする。今後は併せて、具体的な買収防衛策の策定を目指す動きも活発になりそうだ。

筆者:根本和哉(産経新聞)

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