
皇室典範特例法案に関する全体会議を終え、記者会見に臨む額賀福志郎衆院議長(左)と玄葉光一郎衆院副議長=17日午後、東京都千代田区の衆院議長公邸(酒巻俊介撮影)
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安定的な皇位継承に向けた皇族数確保について、衆参正副議長は取りまとめ案を作り、国会の各党派に提示する方針だ。
皇位の男系継承という最重要原則を踏まえた「立法府の総意」を形成し、皇室典範改正へ進むべきだ。

政府が令和4年に提出した報告書をもとに国会で議論が進んできた。報告書は今上(きんじょう)陛下から秋篠宮皇嗣殿下、悠仁親王殿下という皇位継承の流れを「ゆるがせにしてはならない」とした。その上で①女性皇族が結婚後も皇族身分を保持し、配偶者と子は皇族としない②養子縁組などによる旧宮家の男系男子の皇族復帰―の案を提示した。
自民党、公明党、日本維新の会、国民民主党、有志の会など主要8党・会派は政府報告書の内容に賛成している。取りまとめ案はこの内容を確実に集約し、早期に合意を得たい。

継承権を持つ男性皇族を増やす②案こそ最重要で、日本の根幹を守る安定継承策となる。政府が4月、旧久邇宮(くにのみや)、旧東久邇宮、旧賀陽宮(かやのみや)、旧竹田宮の旧4宮家に未婚の男系男子が存在すると明かした意義は大きい。
旧宮家は、歴代天皇が皇統護持のため、各当主に親王宣下して世襲させた伏見宮家の子孫だ。旧宮家の男性皇族は現憲法下の昭和22年10月に臣籍降下するまで皇位継承権者だった。皇統が危機の今、皇族という重い務めをお願いするのは旧宮家の男系男子をおいて他にない。
皇位は例外なく男系継承で貫かれてきた。同じ原則に基づく継承の積み重ねが正統性を育み、皇位簒奪(さんだつ)を阻んできた。
不安要素は合意形成に待ったをかけてきた立憲民主党の野田佳彦代表らの存在だ。
立民意見書は「論点整理」にとどまり、政府報告書を否定まではしていないはずだ。だが野田氏は国会での協議で、政府報告書の内容に同意せず、反対派の急先鋒(せんぽう)のようになっている。これは矩(のり)を踰(こ)えている。

また、女性皇族の配偶者と子に皇族身分を与えたいようだが絶対に認められない。これは歴史に前例のない皇族範囲の変更で、宮家の女系継承になってしまう。男系を貫いてきた日本の皇統を断絶させ得る危うい「トロイの木馬」だ。立民報告書にある「歴史と伝統の尊重」にも反する企(くわだ)ては諦め、8党・会派との協調に転じてほしい。
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2025年5月9日付産経新聞【主張】を転載しています
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