
沖ノ鳥島周辺の日本の排他的経済水域内でワイヤのようなものを海中へ延ばしているのが確認された中国の海洋調査船「嘉庚」=5月26日(第3管区海上保安本部提供)
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日本最南端の領土である沖ノ鳥島(東京都)周辺の日本の排他的経済水域(EEZ)で、中国の海洋調査船が日本の同意を得ずに調査活動を行った。
国連海洋法条約違反の行為で到底容認できない。中国は謝罪し、不当な活動を二度と実施してはならない。
軍事目的の調査をしていた可能性もある。日本政府には監視や防衛体制の強化に努めてもらいたい。
海上保安庁の航空機が26日、沖ノ鳥島の東約270キロのEEZで、中国の海洋調査船がワイヤのようなものを海中へ延ばしているのを確認した。無線で中止を要求し、調査船は約5時間後にEEZ外へ出た。
沖ノ鳥島周辺のEEZで中国の調査活動が確認されたのは昨年1月以来だ。林芳正官房長官は「即時に中止すべきだと中国側に抗議した」ことを明らかにした。当然のことである。
これに対し、中国外務省の毛寧報道官は、沖ノ鳥島は「島ではなく岩だ」とし、「日本側には干渉する権利がない」と活動を正当化した。説得力のない強弁で全く同意できない。

沖ノ鳥島は、東京から約1700キロ離れた太平洋上にある周囲約11キロのサンゴ環礁だ。満潮時でも2つの小島が海面上にあり、国連海洋法条約が規定する「自然に形成された陸地」など島の定義に当てはまる。
中国が、沖ノ鳥島はEEZを設定できない「岩」だと言いがかりをつけるようになったのは今世紀に入ってからだ。
その頃から中国は、沖ノ鳥島周辺で日本の同意を得ずに海洋調査を強行するようになった。潜水艦の行動に必要な海底の地形や水温などのデータを収集しているとみられる。日本にとって、経済権益の保護と安全保障の双方で脅威といえる。
一方、尖閣諸島(沖縄県)周辺のEEZで11日に中国調査船が活動していた。
日本最西端の与那国島(同県)沖のEEZでは、中国が勝手に観測用ブイを設置し、日本政府は抗議してきた。これが撤去されているのが28日に確認された。だが、中国外務省は「メンテナンス」と説明している。再び設置の恐れがある。
沖ノ鳥島周辺であれ、南西諸島方面であれ、日本の海における中国の傍若無人な振る舞いは許されない。

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2025年5月31日付産経新聞【主張】を転載しています
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