
首相官邸
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政府が6月中旬にまとめる経済財政運営の指針「骨太の方針」の原案のうち、「外国人との秩序ある共生社会の実現」部分が6月5日までに判明した。国内社会のグローバル化を前提としていない制度・運用全般の見直しを進めるとして、「タダ乗り」が指摘される外国人の保険適用の在り方の検討を行うなどとしている。複数の政府関係者が明らかにした。
原案では、外国人材の受け入れ・共生に関する関係閣僚会議など政府横断的な司令塔体制をさらに強化。実態把握や国・自治体の情報基盤整備を行うとともに、法令遵守の徹底、制度の適正利用、透明性確保の観点から「国内社会のグローバル化を前提としていない制度・運用全般の見直しを進める」とした。
入国関係手数料見直し
また、出入国在留管理の一層の適正化に向け、入国から出国までの情報の一元的管理の実現のため2028年度の電子渡航認証制度の導入を目指すほか、主要国の水準を考慮して査証や入国在留関係手数料の設定・見直しを検討する。このほか、デジタル技術を活用するなどして、「不法滞在者ゼロを目指す摘発・送還を行う」と明記。外国人材受け入れ制度である育成就労制度及び特定技能制度については、分野や受け入れ見込み数を設定する考えを盛り込んだ。

外国人が母国の運転免許を日本の免許へ切り替えられる「外国免許切替(外免切替)」制度に関しては、「運転免許の住所確認の厳格化や知識確認・技能確認の審査内容の厳格化を進める」と明記する方針だ。
外国人の土地所有、透明性高める
国会で外国人による「タダ乗り」が議論になっている医療費など社会保障制度の適正化を巡っては、未納付情報や医療費不払い情報の連携による在留審査への有効活用、外国人の保険適用の在り方の検討を行うことが盛り込まれている。厚生労働省によると、国内在住の外国人による国民健康保険の納付率(令和6年4~12月)は、世帯主が外国人のケースを抜き出して集計できる150市区町村の平均で63%。日本人も含めた全体の納付率は93%で、外国人の納付率が著しく低いことが浮き彫りになっており、全国の実態把握を急ぐ。また、児童手当や就学援助の実態に即した適正利用を図る。
国土の適切な管理・利用についても「外国人を含めた全国の土地などの透明性を高める」として、外国からの投資状況などを踏まえ、所有者の情報やデータベースの充実化を盛り込む方向で調整。観光・短期滞在者に関しては、犯罪・迷惑行為への対応を強化する方針だ。
(産経新聞)
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