
カンクウルウ(中央)とアリオラムス(左)、ティラノサウルス(上)、ゴルゴサウルス(右)=服部雅人さん提供
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北海道大やカナダ・カルガリー大などの国際研究チームは6月12日、約9000万年前のモンゴルの白亜紀後期の地層からティラノサウルス類の新種を発見したと発表した。「カンクウルウ・モンゴリエンシス」と名付け、12日付の英科学誌ネイチャーに発表した。ティラノサウルスの起源と進化に関する新たな仮説を提唱している。
研究チームによると、この新種は、約50年前にモンゴルのゴビ砂漠で採集された化石から見つかった。体重500キロ未満でティラノサウルスの幼体と似た細身の体つき。足の形などが他のティラノサウルス類と異なっていたことなどから、新種と判断したという。

今回の新種の発見を通じて、ティラノサウルス類の進化過程も明らかになってきた。元々、ティラノサウルスの起源は北米にあるとされていたが、祖先はまずアジアで誕生し、北米との間を行き来しながら大型化したと考えられるようになったという。また、新種の恐竜カンクウルウからは大型ティラノサウルスだけでなく、体重約750キロの恐竜アリオラムスという子孫も誕生したとみられ、進化の過程の解明にも手掛かりを与える発見となった。
研究チームの北海道大学総合博物館の小林快次教授は「カンクウルウの発見で大型ティラノサウルス類の起源と進化の過程が解明された。調査をさらに進め、ティラノサウルスの仲間がアジアと北米をどのようなルートで移動したのか詳しく解明していきたい」としている。
(産経新聞)
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