産経新聞の宮内庁担当記者が皇室の1週間を振り返ります。天皇、皇后両陛下は広島県で原爆死没者をご慰霊されました。
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原爆死没者慰霊碑に供花される天皇、皇后両陛下=6月19日午後、広島市中区の平和記念公園(恵守乾撮影)

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天皇陛下は今週も皇居・御所で、2025年大阪・関西万博の「ナショナルデー」にあわせて来日する各国要人と相次いで会見し、平和について対話を深められた。

6月13日はコソボのオスマニサドリウ大統領と会見し、陛下がライフワークとされる「水」問題が話題に。宮内庁によると、大統領が内戦の歴史を念頭に、平和のための水の確保の重要性を述べたのに対し、陛下は「日本が協力できることがあればうれしく思います」と応じられたという。

18日のドイツのシュタインマイヤー大統領との会見では、陛下が戦後80年に際して今年訪れた硫黄島(東京都)や沖縄県での慰霊についてご説明。戦争体験者や若い世代の語り部と懇談したことに触れ「過去の記憶を次の世代につなげていくというのは、大変重要なことだと思います」と述べられたという。

ドイツのシュタインマイヤー大統領との会見に臨まれる天皇陛下=6月18日午後、皇居・御所(宮内庁提供)

陛下は昭和天皇の后、香淳皇后の命日に当たる16日、皇居・皇霊殿で香淳皇后例祭の儀に臨み、拝礼された。

天皇、皇后両陛下は19日、先の大戦で原爆が投下された広島県に入られた。両陛下は広島市の広島平和都市記念碑(原爆死没者慰霊碑)を訪れて白いユリなどを供花し、深々と拝礼された。

広島平和記念資料館で、被爆者や伝承者と懇談される天皇、皇后両陛下=6月19日午後、広島市中区(代表撮影)

続いて原爆の実態を後世に伝える被爆遺構展示館(広島市)をご覧に。被爆の痕跡が残る住宅の基礎部分を前に、陛下は爆風や熱線の威力について尋ね、多くの人が一瞬で亡くなったとの説明に「大変痛ましいことです」と述べられた。

被爆遺構展示館を見学される天皇、皇后両陛下=6月19日午後、広島市中区

また、両陛下は広島平和記念資料館(同)もご視察。壊滅的な被害を受けた広島の状況や、重傷を負った被爆者を撮影した写真が展示されており、両陛下は被爆者が着ていた衣服や遺品などに見入り、質問を重ねられていた。

広島平和記念資料館(原爆資料館)を訪れ、ノーベル平和賞受賞記念パネル展を見学される天皇、皇后両陛下=6月19日午後、広島市中区(代表撮影)

同館では被爆者3人と懇談する機会も設けられ、両陛下は被爆者の壮絶な体験に「本当にお辛かったですね」と寄り添われた。3人はいずれも90歳代で、陛下は体調を気づかいつつ「今後も平和の大切さを伝えてください」と、記憶の継承を願われていた。

皇后さまは13日、皇居内にある紅葉山御養蚕所で、今年初めて蚕の繭を収穫する「初繭掻(か)き」に臨まれた。

今年初めて蚕の繭を収穫する「初繭掻き」に臨まれる皇后さま=6月13日午後、皇居・紅葉山御養蚕所(宮内庁提供)

秋篠宮ご夫妻は17日、赤坂御用地にあるお住まいの宮邸(東京都港区)で日伯友好経済使節団と懇談された。

日伯友好経済使節団と面会される秋篠宮ご夫妻=6月16日午後、東京都港区の秋篠宮邸(宮内庁提供)

ブラジルを公式訪問していた秋篠宮ご夫妻の次女、佳子さまは現地時間の13日、リオデジャネイロにある日本庭園でご植樹。

植物園を訪問し、記念植樹される秋篠宮ご夫妻の次女、佳子さま=6月13日、リオデジャネイロ(代表撮影・共同)

かつて外務省庁舎だった「イタマラチ宮」では、明治期にブラジルとの外交関係樹立の際に結んだ「日伯修好通商航海条約批准書」をご覧になった。

イタマラチ宮を訪問し、日伯修好通商航海条約批准書などを見学される秋篠宮ご夫妻の次女、佳子さま=13日、リオデジャネイロ(共同)

14日にはアルゼンチンとの国境付近の都市、フォス・ド・イグアスへ移動し、ブラジルへ移住した日系1世らと懇談された。日系人らの和太鼓演奏も見学し「いろんな音が入っていて、動きがあって、見ていてとても楽しかったです」とほほ笑まれた。

ブラジル・フォスドイグアスを訪問し、日系移民の男性と交流される秋篠宮ご夫妻の次女、佳子さま=6月14日(共同)

高円宮妃久子さまは13~14日、日本車いすツインバスケットボール選手権大会臨席のため、岐阜県をご訪問。14~15日には関西万博の会場で、アイルランドやスペインなどのパビリオンを視察された。

筆者:中村昌史、吉沢智美(産経新聞)

2025年6月20日産経ニュース【皇室ウイークリー(902)】を転載しています

皇室ウイークリー】は毎週金曜日、「産経ニュース」に掲載している企画です。ニュース紙面ではあまり触れられない各宮家のご活動や、上皇ご夫妻のご様子を含め、宮内庁担当記者が皇室の1週間を振り返ります。紙面で掲載できなかった写真もご紹介しています。さらに「皇室ウイークリー」だけのために撮影した写真も、アップしています。

また皇室のご動静は、産経新聞社が取材協力している季刊誌『皇室 Our Imperial Family』でも、詳しくご紹介しています。

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