
Inside image: In Tokyo's Upper House race, 32 candidates competed for seven seats. Shinjuku, Tokyo. (©Sankei by Hayato Narita)
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IGNITE #1: Be a Global Catalyst for Communications
(イグナイト#1:世界をつなぐコミュニケーションの推進役になれ)
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「違法外国人ゼロ」「日本人ファースト」―。7月20日投開票が行われた参院選の選挙戦で複数の政党や候補たちが訴えたスローガンである。排外主義とも受け取られかねないこうした発言がここまで飛び交った近代日本の国政選挙は初めてではないだろうか。
欧米諸国では、自国民を優先する政策を打ち出した右派政党が大躍進し、違法滞在する外国人の強制排除に乗り出した国もあるのはご存じの通りである。日本でも同様な主張が拡大したのは、「アメリカファースト」を訴えるトランプ米大統領の誕生以来、世界で続く潮流を受けたことだといえるかもしれない。
参院選の選挙結果は、記事の執筆時点では明らかではない。しかし、与党の自民党からは投開票を前に、〝敗北宣言〟とも受け取れる発言が聞こえてきた。

16日付の読売新聞によると、同党の平井卓也広報本部長は参院選後に「何も決められない国会、夜明けのない暗黒の時代が続くことになる」と語ったという。
発言するのは自由だが、選挙を戦う与党の当事者が評論家のように日本政治の不安定化を予測するネガティブ発言によって喜ぶのはいったい誰なのか。仮に、今後、日本の政治に「暗黒の時代」が到来したとしても、日本自体の価値が暗黒に染まることはない。常に希望はある。英語と日本語のバイリンガル・ニュース・オピニオンサイト、JAPAN Forward(JF)は、そう信じて発信してきた。
上の英文(日本語訳)はJFが6月スタートさせた新企画「IGNITE(心に火をともす)」第1回の記事の見出しだ。同企画は、日本の若者の声を世界に発信することで、日本の若い世代が何を考え、何を希望してこの時代を生きようとしているのか、世界の人たちに理解を深めてもらおうというのが目的である。
第1弾として、一般財団法人国際ビジネスコミュニケーション協会(IIBC)が2009年から毎年実施している「IIBC高校生英語エッセイコンテスト」の受賞作品をJF上で紹介している。第1回は23年のコンテストで最優秀賞・日米協会会長賞を受賞した芦屋学園高等学校2年(受賞当時)、田哲さんの作品だ。
中国人の父と韓国人の母を持つ田さんは学校のプロジェクトで多国籍国家と呼ばれるカナダに留学。自身のアイデンティティーに対する悩みを抱え、緊張して出発したが、現地で温かく迎えてくれたホスト・ファーザーとの会話の中で、悩みが逆に強さであることに気づかされた経験を英語で記した。

田さんは「異文化間におけるコミュニケーションの偉大さを改めて認識することができました」と受賞への感謝とともに、こうコメントした。
JFの主な読者は、日本に関心を持つアジア諸国のZ世代やミレニアル世代と呼ばれる若者たち、そしていままさに社会の中心で働く世界の若い世代である。日本の若者たちには、こんな時代だからこそ、世界の若者たちとつながり、新しい時代を切り開いてほしい。そんな願いがこの企画には込められている。
「IGNITE」では今後、IIBC以外にもさまざまな場で発言している若者たちの声を取り上げていきたい。
世界で最も読まれている書物である聖書に、「闇は光に勝たなかった」(ヨハネ1.5)とある。JFは参院選で強調された外国人問題を「闇の時代」と嘆き、批判するのではなく、若者が活躍できる舞台をつくり、未来を担う彼らとともに、そこに光を差し込んでいきたい。
筆者:内藤泰朗(JAPAN Forward編集長)
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2025年7月21日付産経新聞【JAPAN Forward 日本を発信】を転載しています
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