To Keep China at Bay, Int’l Community Must Shore Up Taiwan’s Democracy and Economy
(中国をくい止めるため、国際社会は台湾の民主主義と経済を支えるべきだ)
◇
台湾では、1月11日に投開票が行われた総統選挙で現職の蔡英文総統が再選された。選挙は、中国の圧力をはねのけた台湾で民主主義がいかに貴重な価値観であるかを世界に示した。蔡総統は今後、4年間にわたり、中国とは一線を画し、ますます独立路線を強めていくだろう。
そんな台湾に、「一つの中国」を主張する中国は、果たしてどんな手を打ってくるのか―。そして国際社会は、それにどう対処していくべきなのか―。
英語ニュース・オピニオンサイト「JAPAN Forward」(JF)は今月、そんな疑問に応えるべく、専門家たちが考察した記事を複数掲載した。上の英文(日本語訳)は、そうした記事の見出しの一つである。
記事は、在沖縄米軍海兵隊外交政策部次長を務めた政治学者のロバート・D・エルドリッヂ氏が執筆。蔡総統が歴史的な大勝を果たした最大要因として、「自分たちが中国人ではなく、台湾人であると覚醒したことが大きい」と指摘した。
さらに、中国の言う「一国二制度」は香港に対立激化をもたらし、台湾人たちに「今日の香港は、明日の台湾だ」という認識が生まれたことが、勝因だと断言した。
そのうえで、民主主義を守るには、外交、防衛、経済を頂点とした「協力の三角形」という概念が重要であると言及。その中でも、中国からの圧力に対抗するため、台湾の経済を支えていくことがまず大切であると強調した。
具体的には、日本などの国々が台湾との自由貿易協定(FTA)を締結することで、中国市場から締め出された台湾を中国以外の世界市場に組み込み、経済面で中国からの依存度を下げようという内容だ。
これとは別に、米研究所「グローバル・タイワン・インスティテュート」のラッセル・シャオ執行長も1月14日、JFに寄稿した。見出しは「台湾の選挙後、中国は現状を変更しようとするのか、あるいは平和と安定に寄与するのか」。
シャオ氏はその中で、①北京からの一層強硬な圧力②蔡総統の政治力の弱体化―という2つの概念、そして日米、東南アジア諸国からのより大きな国際的支援の必要性を予測した。
未来については、「ボールは今、中国側にある。中国が一方的に現状を変更しようと行っている不安定化の路線を改め、代わりに台湾海峡の平和と安定のために貢献するのかが問題となっている。もし、北京が蔡総統との関係構築を避けるのなら、米国や日本などの懸念を有する国々が、攻撃的で威圧的な北京の行動への対抗措置を取るか否かにかかってくる。なぜなら、それは台湾で終わらないからだ」と指摘。
日米安保条約60年に当たる今年1月7日、デイビッド・ヘルビー米国防次官補代理がワシントンのハドソン研究所で講演し、「台湾海峡の平和と安全が(日米同盟にとって)長年にわたる共通の戦略目標だった」と語った。シャオ氏は「次の4年間は、日米同盟が将来、太平洋地域の脅威に対処できるのかが、試されることになるだろう」と締めくくった。
アジアで今年起きることは、これからの日本と世界の行方を占う上で重大な意味を持つのだ。JFは、一党独裁国家の中国、そして核武装を諦めない北朝鮮の動向に注目していきたい。
(JAPAN Forward編集部)
◇
■JFサポーター会員を募集中!
素顔の日本を世界に発信するため、ご支援をお願いいたします。会員特典の詳細や入会のお申し込みはこちらから。寄付などのお問い合わせは、電話0570-033-433(産経iD)まで。
※「日本を発信」シリーズは、産経新聞のオピニオン面に掲載された記事を転載しています。