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大相撲の東関脇でウクライナ出身の安青錦が九州場所を制し、大関に昇進した。戦時下の故郷にはこの上ない朗報となったに違いない。
Aonishiki4 1129

大相撲で新大関に昇進した安青錦=11月26日(共同)

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組んで強く、離れても強い。常に真っ向勝負を挑むけれんみのない取り口には、すがすがしさを覚える。新たな看板力士の誕生を心から歓迎したい。

大相撲の東関脇でウクライナ出身の21歳、安青錦が九州場所を12勝3敗で制し、11月26日の相撲協会の番付編成会議と臨時理事会で大関昇進が決まった。

千秋楽の優勝決定戦は横綱豊昇龍を速さで上回り、背後に食いつく完勝だった。花道で付け人と抱き合い、目元を拭う姿には胸を打つものがあった。戦時下の故郷にはこの上ない朗報となったに違いない。

安青錦(右)は優勝決定戦で豊昇龍を送り投げで破り、初優勝を果たした=福岡国際センター(渋井君夫撮影)

ウクライナはアマチュア相撲の盛んな地だ。安青錦は7歳で相撲を始めたときから、角界入りを願い続けてきた。ロシアによる侵略が始まったのは、18歳の誕生日を翌月に控えた2022年2月だった。戦時下の法制度では、18歳以上の男子は出国できない。人生の分かれ道に立たされた青年は断腸の思いでドイツに入り、その後、知人を頼って来日した経緯がある。

変化を嫌った正攻法の立ち合いには、祖国の名を辱めまいとする一念がにじむ。来日からわずか4年目での、異数の出世をかなえた要素でもあろう。

今年3月の春場所で新入幕を果たして以来5場所連続で11勝以上を挙げ、いずれも三賞を手にしている。直近3場所の計34勝には豊昇龍と大関琴桜からそれぞれ挙げた3勝も含まれ、大関昇進を否定する理由は見当たらない。年6場所制となった昭和33年以降、初土俵を含め14場所での新大関は、ブルガリア出身の琴欧洲(現鳴戸親方)の19場所を上回る最速の記録だ。

九州場所14日目、押し出しで豊昇龍(左)を破る安青錦

根を張ったように強い足腰、重心を低く保った基本に忠実な相撲は大崩れを想像し難い。一方、四つに組んでからの攻めは未完の部分が多く、182センチ、140キロの体も成長の余白を残している。体格差に開きのある横綱大の里との合口は悪い。押し相撲の相手に、立ち合いの当たり負けで土俵外に持っていかれる展開も見られる。

最高位を目指す上で、さらなる増量は避けて通れない。動きの速さを損なわず、かつ当たり負けしない体重を追求し、スケールの大きな取り口をものにしてほしい。大の里、モンゴル出身の豊昇龍に安青錦が割って入った先には、生国が異なる3横綱の時代も見える。相撲人気はますます盛り上がるはずだ。

2025年11月25日付産経新聞【主張】を、一部情報を更新して転載しています

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