新潟県の東京電力柏崎刈羽原発(共同通信社機から)
This post is also available in: English
原発の再稼働が進んでいるかどうかで、電気料金に地域差が生まれている。大手電力10社の12月使用分の電気料金では、最も高い北海道電力と最も低い九州電力で約2千円の開きが出た。西日本に比べ原発の再稼働が進まない東日本は火力発電に依存し、燃料費の高騰で電気料金が高止まりしている。価格面においても安価な電力を供給する原発を求める声が強まっている。
西日本は11基を再稼働、東は女川1基のみ
大手電力10社が公表した12月使用分の標準家庭向け料金は、北海道電力が9376円で最も高かった。東京電力は8634円、東北電力も8511円と8千円を超えた。
一方、九州電力は7466円で最も安かった。関西電力も7791円と8千円を切り、東日本との差を浮き彫りにした。
東京電力福島第1原発事故後、国内の原発は全て停止した。その後、西日本を中心に再稼働が進み、関電は7基、九電は4基を再稼働させた。

一方、東日本では安全性への懸念が強いことなどで再稼働は進まず、2024年10月に東北電力女川原発(宮城県)が再稼働を果たしただけだ。
泊、柏崎刈羽の再稼働への期待高まる
このため電源の多くを火力発電に頼らざるを得ず、ロシアによるウクライナ侵略などもあって資源価格が高騰する中、西日本よりも電気料金が高い状況が続いている。
ただ今後は東日本と西日本で電気料金の差が縮まることが期待される。
北電は27年に目指す泊原発(北海道)3号機の再稼働で年600億円の燃料費減を見込む。このうち500億円を活用して家庭向け電気料金を11%程度、企業向けは7%程度値下げする方針だ。
東電柏崎刈羽原発(新潟県)は来年1月にも6号機が再稼働する見通しで、収支改善効果は料金に織り込み済みという。
両原発の再稼働に道筋がついたことで、東日本全体で再稼働の機運が高まりそうだ。政府関係者は「原発の再稼働が広がれば、電気料金の値下げが相次ぐ可能性がある」と期待を寄せた。
筆者:中村智隆(産経新聞)
This post is also available in: English

