Prague inks sister city pact with Taipei

 

 

中欧チェコの首都プラハのズデニェク・フジブ市長(38)が1月21日、産経新聞と会見し、北京と姉妹都市協定を解消して、1月13日に台北と協定を結んだ経緯を明かした。「中国側は信頼できるパートナーではなかった」と述べ、対中不信をあらわにした。

 

プラハと北京の協定は2016年に締結。「一つの中国」原則の順守を記す条項が含まれていた。フジブ市長が18年の地方選挙で就任し昨年1月、「市協定に政治を持ち込むのは不適切」として、条項削除を求めたのが対立の発端だ。

 

フジブ氏は「私は16年、野党メンバーとして協定に反対した。北京に協定の再交渉を求めたのは、18年に発足した市議会の決議を受けた措置だ」と強調した。

 

北京はプラハの要請を拒否。電子メールや書簡の問い合わせにも返事をしなくなり、昨年秋に予定されていたプラハ交響楽団の中国ツアーを一方的に中止した。フジブ氏は「まるで子供のいじめだ」と批判し、「話し合いもできないパートナー関係では意味がない」として協定解消を決めたと述べた。市議会もこれを支持したという。

 

チェコは中国の経済圏構想「一帯一路」に協力する覚書の調印国。中国重視の外交を続けてきたが、フジブ氏が北京との関係解消について外務省に相談すると、「姉妹都市は市政が決めること」という返答で、介入しなかった。当初、チェコ側が期待した中国からの巨額投資が実現しなかったうえ、昨年秋には情報機関が中国のサイバー攻撃の脅威を警告したことが背景にあるとみられる。フジブ氏は「国民の中国観は変わった」と指摘した。

 

台北との協定締結は昨年3月、フジブ氏が国際会議で訪台し、蔡英文総裁ら要人と会談したのが契機になった。医師出身のフジブ氏は15年前、台湾で2カ月研修した経験があり、思い入れも強い。「台北とは人口規模が近く、住宅、環境など重視政策も同じ。今月行われた台湾の民主選挙は、われわれと価値観を共有することを示した」と訴えた。

 

プラハが台北と協定を結んだ後、上海はプラハとの協力関係の解消を発表した。中国側は「悪い影響を招く」と警告しており、中国人観光客の減少も予想されるが、フジブ氏は「現在は観光客の増えすぎが問題になっている。減るのは治安や衛生面でよいこと」と述べ、意に介さない。

 

チェコは東西冷戦中、共産主義体制にあり、1989年に民主化革命を実現した。このため、中国共産党政権の人権抑圧に対する視線は厳しい。昨年3月にはチベット動乱から60年を記念し、プラハなど各自治体が一斉にチベット旗を掲揚した。フジブ氏は「旗掲揚は、チベットの自決権要求への支持表明。チェコは長くハプスブルク帝国の支配下にあり、民族自決権の要求は伝統だ」と強調した。

 

筆者:三井美奈(産経新聞パリ支局長)

 

 

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