EUの欧州委員会は、ガソリンなどを燃料とするエンジン車の新車販売を2035年から原則禁止するとしていた政策の撤回を発表した。バイオ燃料を使うことなどを条件に、ハイブリッド車を含むエンジン車の販売を認める。
Gas engine car rs

排ガスを出す自動車=ドイツ・ベルリン(ロイター=共同)

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欧州連合(EU)の行政執行機関である欧州委員会は、ガソリンなどを燃料とするエンジン車の新車販売を2035年から原則禁止するとしていた政策の撤回を発表した。

35年までに走行中の二酸化炭素(CO2)排出量を21年比で100%削減するよう義務付けてきたが、90%に緩和してハイブリッド車(HV)を含むエンジン車の販売を認める。製造過程でCO2排出を抑えたEU産の鉄鋼やバイオ燃料を使うことが条件だという。

政策変更に踏み切るのは、域内の電気自動車(EV)需要が鈍いことに加え、低価格の中国製EVの攻勢にさらされていることがある。自動車産業を基盤とするドイツでは景気低迷が深刻で、イタリアや東欧諸国などと規制緩和を求めていた。

中国福建省アモイの港に並ぶ、輸出を待つ新エネルギー車(新華社=共同)

EVを巡ってはトランプ米政権が購入支援を9月末で打ち切った。欧州、米国という主要な市場におけるEVの普及政策の見直しにより、EVで出遅れる日本メーカーは巻き返しの時間的猶予を得たともいえる。これを生かすことで、日本の基幹産業である自動車産業を将来にわたって成長させたい。

自動車の脱炭素技術は中長期的にEVが中心になるとの見方は変わっていない。EVを核に据える中国メーカーの台頭は著しい。競争力のあるEVを開発できなければ、世界市場での存在感の低下は避けられない。

問題は、限られた開発費をどう振り分けるかだ。欧米の政策見直しによって、各社はEVだけではなく、従来通りエンジン車への注力も迫られている。

トヨダ(現トヨタ)AA型乗用車(左)とトヨタカローラコンセプト=11月7日午後、東京ビッグサイト(鴨志田拓海撮影)

スマートフォンのように車載ソフトの書き換えによって車の性能を向上できる次世代車「ソフトウエア・デファインド・ビークル(SDV)」の技術開発も急がねばならない。

当初に比べ影響は軽減されたとはいえ、トランプ政権による自動車の追加関税で、国内自動車各社は多額の負担を余儀なくされている。利益が圧迫される中で、すべての自動車メーカーが全方位の開発を進めることは現実的ではない。

統合協議を打ち切ったホンダと日産自動車が次世代車に搭載する基盤ソフトの共通化などを検討しているように、日本メーカー同士の提携は一つの解になろう。各社の戦略が問われることになる。

ドライバーがハンドルから手を離して自動運転で走行する「T2」のトラック

2025年12月24日付産経新聞【主張】を転載しています

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