JR山手線と京浜東北線は、停電のために1月16日始発から午後1時ごろまで運転を見合わせ、通勤通学客約67万人に影響を与えた。日本の鉄道は定時運行率において他国の追随を許さないが、鉄道の「安全神話」が揺らいでいる。
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高輪ゲートウェイ―田町間で停車したJR京浜東北線の車両から線路に降りる乗客=1月16日、東京都港区

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機動性に優れた自動車や、遠距離を短時間で結ぶ飛行機が登場しても、鉄道が日本や欧州などで現在も旅客輸送の中核を担っているのはなぜか。多くの人々を一度に速く運べ、安全性に優れているからにほかならない。

しかも日本の鉄道は定時運行率において他国の追随を許さない。そんな鉄道の「安全神話」が揺らいでいる。

JR山手線と京浜東北線は、停電のために1月16日始発から午後1時ごろまで運転を見合わせ、通勤通学客約67万人に影響を与えた。

夜間工事終了後、始発を運行するため変電所から山手線や京浜東北線に送電しようとした際、停電が発生したという。京浜東北線は同日午前7時22分に運行を再開したが、26分後に再び停電となり、運行中の2本の電車が立ち往生した。迂回(うかい)ルートとなった京浜急行や地下鉄などは大混雑し、品川駅は一時身動きできないほどだった。

JR山手線と京浜東北線が運転見合わせとなり、駅間で停車した京浜東北線から線路上に降りて浜松町駅へと歩く乗客ら=1月16日午前、東京都港区(原田史郎撮影)

金子恭之国土交通相が、「公共交通機関の自覚を持ち、鉄道の安全・安定輸送の確保に万全を期してほしい」と述べ、JR東日本に原因究明と再発防止を強く求めたのも当然だ。

JR東日本は、令和9年度までに鉄道事業の運営コストを元年度比で1千億円削減する目標を掲げ、昨年3月から南武線などでワンマン運転を実施している。しかし、同線では朝のラッシュ時を中心に10分以上の遅れが倍増した。

今後、横浜線や京浜東北線、中央・総武線などで順次ワンマン化を推進する方針だが、南武線のようにラッシュ時の遅延が常態化するようでは利用者の信頼を損なうことになろう。

JR東日本は、3月に昭和62年の民営化以来、消費税増税上乗せなどを除いて初の本格的値上げを実施する。利用者に負担増を求める以上、値上げ分は安全性や定時性の確保に振り向けられるべきだ。

民営企業である以上、JR各社が不動産や駅ナカ事業に注力し、利益確保を図るのは当然だ。だが、JR東日本では東北新幹線で走行中の列車の連結器が外れるなど、一歩間違えば大事故になりかねないアクシデントも多発している。「本業」の鉄道事業を疎(おろそ)かにしては、利用者のみならず、株主の信頼を失うことを経営陣は肝に銘じてほしい。

2026年1月18日付産経新聞【主張】を転載しています

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