イランの首都テヘランで爆発後に立ち上る煙を見る人たち=2月28日(AP=共同)
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米国とイスラエルがイランを攻撃した。同国の最高指導者、ハメネイ師の事務所付近も対象になり、イラン国営メディアはハメネイ師が死亡したと報じた。イランはイスラエルに向けてミサイルを発射した。
双方は攻撃の応酬を早期に収束させねばならない。そのために、イランは核開発放棄を約束すべきだ。今は国連総会決議に基づく五輪休戦期間中でもある。
トランプ米大統領はSNSに投稿した動画で、「イランは核開発の野心を放棄するあらゆる機会を拒否した」と攻撃の理由を述べた。イラン国民へ現体制の顚覆(てんぷく)を呼び掛けた。

米国はイランとの協議で核兵器の原材料となる濃縮ウランの放棄などを要求してきた。イランは核拡散防止条約(NPT)上の原子力の平和利用の権利があると主張してきた。

だが、イランに核兵器開発の意志があったのは明らかだ。地下80~90メートルの大深度にウラン濃縮施設を造ったこと自体、核兵器製造をもくろむ証左だ。
イランは国際原子力機関(IAEA)の査察も拒絶してきた。国際社会がこうした対応を容認できるはずがない。
イラン国内ではNPTから脱退すべきだとの強硬論も浮上していた。脱退は深刻な核拡散を招きかねず、米政権では2003年の北朝鮮脱退という悪夢もよみがえっていたはずだ。
ハメネイ体制下のイランでは昨年末から、大規模な反政府デモが発生した。当局の弾圧で多数の死者が出ている。今回の米軍などの攻撃は体制転換の狙いもあろう。
ハメネイ師は公然とイスラエルを敵視し、中東各地のテロ勢力を支援してきた。革命防衛隊や親イラン勢力が中東の米軍基地などを激しく攻撃する恐れもあり、予断を許さない。

懸念されるのは、世界の原油輸送の大動脈、ホルムズ海峡が封鎖される事態だ。西側タンカーが標的となる恐れもある。日本は原油輸入の大半を中東に依存している。
また、イランとの戦いが長期化すれば、米国の関与が手薄になり、中国や北朝鮮、ロシアが北東アジアで挑発的な行動に出る恐れもある。
高市早苗政権は国家安全保障会議(NSC)を重ねるなどして、邦人保護や中東、北東アジアなどでのさまざまな危機に備えなければならない。

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2026年3月1日付産経新聞【主張】を一部情報を更新して転載しています
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