朝日町の東京イベントに集結した参加者ら。真ん中が桃色ウサヒ(杉浦美香撮影)
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山形県のほぼ中央に位置する朝日町は、7割を山林が占め、リンゴとワインで知られる。町は2月、交流イベント「山形県朝日町とつながる夜」を開催、朝日町の良さを全国区にして、関係人口の創出や朝日町ファン作りに本格的に乗り出した。
赤い法被でお出迎え
「いらっしゃいませ」―。
3連休初日の2月21日夜。静かな東京・大手町のオフィス街の一角で、赤い法被姿の鈴木浩幸町長と元副町長の川口幸男さんが来場者を出迎えた。

朝日町の人口は約5700人。少子高齢化の波が押し寄せている。約360km離れた東京で初の交流イベントを開催したのは、町が誇る農産物や食べ物、文化を知ってもらい、移住に限らない「継続的な関わり」を生み出すことにある。
会の冒頭、鈴木町長は町が誇る、空気神社に言及した。「地球温暖化の影響で大雨や洪水、津波といった災害が世界で起きている。朝日町には市民の発案で、環境を大切にしたいという思いでできた空気神社がある」と町長。

このユニークな神社をきっかけに空調設備のダイキン工業、パナソニック空質空調社、梱包材・プチプチで知られる川上産業などのつながりが生まれたという。

50種類のリンゴと幻の「高徳」
朝日町はリンゴが基幹産業だ。
現在、町の3つの観光施設を統合した「朝日町総合産業開発」社長でもある川口・元副町長は「町では50種類のリンゴを育てており、2004年から台湾に輸出している」と説明する。

寒暖の差が大きい気候が育む高糖度と蜜入りの良さで知られる「高徳」は「幻のリンゴ」と呼ばれる人気品種だ。店頭に並ぶ時には200人を超える行列ができるという。
ワインもまた、町の誇りになっている。各種コンクールで金賞を受賞、2016年の伊勢志摩サミットの晩餐会に提供されたという。
「町はコンテンツの塊」
会場では、朝日町出身の金融アドバイザー、菅井敏行さん、観光交流空間の調査研究を行う国際観光協会の理事の佐藤岳利さん、ご当地キャラクター「桃色ウサヒ」で地域創成に取り組んできた佐藤恒平さんによるパネルディスカッションも行われた。

菅井さんは「東京で高級レストランを食べ歩いている知人を朝日町に連れていき、山形の郷土料理芋煮を味わってもらったところ感激していた。人の味覚は素朴なものに戻る。町はコンテンツのかたまり。物語がある」と朝日町の良さをアピール。消費者として商品を購入するだけではなく、実際に足を運び、体験し、物語を共有する関わり方こそが地域の価値を高めると訴えた。

佐藤岳利さんは「おいしい空気と湧き水、温泉。東京と朝日町の2拠点生活で、町の歴史、文化、おいしいものを発掘している」と語り、都市と地方を行き来するライフスタイルを提示した。
一方、佐藤恒平さんは「着ぐるみによる地域おこしを支援してくれた。チャレンジさせてくれる町だ」と移住のきっかけを紹介。外から来た人を受け入れ、挑戦を後押しする土壌があることを強調した。

観光でも移住でもない、つながりを
地元の東北芸術工科大学の学生がデザインした新しいコテージが今年10月、新築リニュアルオープンする予定だ。ふるさと納税の推進、ラインによるサポーター登録を進める。
観光でもなく、移住でもない新しい形の交流をさらに進めていくという。

筆者:杉浦美香(Japan 2 Earth編集長)
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