2月、シカゴ交響楽団の定期演奏会に登場したHIMARIさん(トッド・ローゼンバーグ氏撮影、シカゴ交響楽団提供)
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14歳のバイオリニスト、HIMARIさんの活躍に世界が注目している。2月には世界屈指のオーケストラ、シカゴ交響楽団の定期演奏会にソリストとしてデビューした。昨年3月にはベルリン・フィルハーモニー管弦楽団の定期演奏会に登場、すでに来年もボストン交響楽団と共演する米カーネギー・ホールデビューが決まるなど、世界トップレベルの舞台に立ち続ける。そのHIMARIさんにとって、なにより音楽が幸せに直結しているようだ。産経新聞のメールインタビューに「これから出会う音楽家たちとともに音楽を創るのが幸せです」と答えている。
2月12日から15日まで、HIMARIさんはシカゴ交響楽団の定期演奏会に登場し、ブルッフのバイオリン協奏曲第1番を演奏した。指揮はヤープ・ヴァン・ズヴェーデンさん。オーケストラとの信頼関係が育まれる中で紡がれた重厚で華やかな音楽は聴衆を魅了した。シカゴの地元メディア「WTTW」も「HIMARIの美しく温かく情感あふれるソロが続き、豊かなドラマチックな感性が際立った。また別のソロパートでも、HIMARIはまさに驚異的だった」と称賛している。
今、世界で最も注目されるバイオリニストの一人だ。昨年3月に13歳でベルリン・フィルにデビューした後も、ロンドン・ フィルハーモニー管弦楽団、スイス・ロマンド管弦楽団、ピッツバーグ交響楽団と世界各国の有名オーケストラとの共演が続いた。

ベルリンや今回のシカゴ、そしてロンドン・フィル、スイス・ロマンド、ピッツバーグでは定期演奏会のソリストとして招かれていることに意味がある。定期演奏会とは、それぞれのオーケストラにとって自らの実力を示す、いわば名刺代わりの最重要の演奏会と位置づけられているためだ。単に若い才能を聴いてみたいという試みではなく、一人のバイオリニストとして共演を望まれていると考えてよいだろう。
本人にこの1年ほどを振り返ってもらうと、「海外で弾く機会に多く恵まれました。旅が多いのは大変なこともあるけれど、良い気分転換にもなります。ベルリンはさまざまなハプニングもあったし、ヴィエニャフスキのバイオリン協奏曲第1番という難曲だったので特に思い出に残っていますが、どこへいっても音楽を創ることは変わらないので、楽しんでいます」とした。
そして2月のシカゴ交響楽団との共演。「私にとって意味のある共演でした。オーケストラのサウンドやマエストロ、ヤープが素晴らしいのはもちろんですが、ずっとカーティスでクラスメートだったお友達が演奏していて…」と振り返る。舞台上のオーケストラの第2バイオリンの最前列では名門カーティス音楽院で席を並べたダニー・イェン・ジンさんも演奏。客席には同音楽院で師事しているバイオリニストで名教師のアイダ・カヴァフィアンさんも駆けつけており、定期演奏会4日目の最終日のアンコールは2人で奏でた。「私たちの先生が会場で聴いてくださっていたので、サプライズでもありました。とても思い出に残るデビューになりました」と屈託がない。
東京に生まれ、3歳からバイオリンを始めたHIMARIさんは6歳でプロのオーケストラと共演し、常に注目されてきた。2022年、米フィラデルフィアの名門音大、カーティス音楽院に最年少で合格すると、10歳で渡米。今もカヴァフィアンさんのもとで学び続けている学生だ。

シカゴ交響楽団と共演した後も翌週には大学に戻り、学内演奏会に出演した。世界の第一線の舞台に立ちながら、学び続けて進化し続けているのも彼女の強みだ。
今年はNHK交響楽団の定期デビュー、コロラド音楽祭、ヴェイル音楽祭、タングルウッド音楽祭などへの出演が予定されており、秋にはロンドン交響楽団の日本ツアー、セントルイス交響楽団との共演もある。来年4月には米国の音楽の殿堂カーネギー・ホールのボストン交響楽団定期演奏会での出演も発表された。
「今年は、6月に日本でのN響定期公演、そして夏には音楽祭でのデビューも控えています。新しい作品に取り組み、これから出会う音楽家たちとともに音楽を創るのが幸せです。バイオリンの繊細な、声のような音色を多くの人に届けたいです」。かつてインタビューしたときも「コンサートは人のために弾けるものだと思ってる。コンサートを大事にしたい。客席のお客さんがうれしそうな顔をして聴いてくれるのが好きなんです」と話していた。常にHIMARIさんは共演者や聴衆との出会いを楽しみにしている。
筆者:安田奈緒美(産経新聞)
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