イタリアで熱戦が繰り広げられているパラリンピック。日本チームを食と栄養で支えているのは冷凍弁当だった。人気はやはりギョーザ!?
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パラ選手を食事でサポートしている味の素の蘆名真平さん。選手村近くで開設された拠点でポーズ(味の素提供)

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3月6日に始まったミラノ・コルティナ冬季パラリンピック。日本チームを食で支えているのが味の素の冷凍弁当だ。現地では手に入りにくい日本の味を提供している。やはり一番人気はギョーザメニューという。

コルティナの選手村近くに設けたサポート拠点「いつでも、ふう。広場」にいる味の素・ビクトリープロジェクト・サポートディレクター、蘆名真平さんにオンラインでインタビューした。

パラ会場になっているコルティナ・ダンペッツオの町の様子(味の素提供)

冷凍弁当が大人気

イタリア北部で開催中のパラリンピックはミラノ、テーゼロ、コルティナ・ダンペッツォの3カ所で分散開催となっている。拠点が設けられたコルティナ・ダンペッツォはユネスコ世界自然遺産の山々ドロミテに360度囲まれた高級リゾート地だ。山岳地のため、選手村近くにはスーパーや和食を提供する店もなく、日本食を確保するのが難しい。選手村の料理は基本、イタリア料理でアジアの料理は見当たらず、選手らは食生活に苦労しているという。

「冷凍弁当『あえて、』は電子レンジで温めるだけで食べられ、タンパク質や食物繊維など栄養バランスもとれていることから選手に喜んでもらっている」と蘆名さん。

昨年12月に、お披露目されたパラ選手に提供される製品(杉浦美香撮影)

メニューは「照り焼きチキン、鶏そぼろまぜご飯」「ギョーザ、枝豆と干しえびのまぜご飯」「にんにく醤油から揚げ、大根の葉まぜご飯」など6種類。

日本選手団の荷物として運ぶため、輸送できたのは200食。数に限りがあり、1人約18個の割り当てのため、前日にメニューを一つ選んでもらい、配布する形をとっている。ただ、試合に合わせてコンディションを整えるために1日に2食、3食を食べたいという選手もおり、割り当ての範囲で希望にこたえているという。

一番人気のギョウザメニュー(味の素提供)

「車イスの選手など歩けないパラアスリートは、代謝がスムーズにいかない場合もある。雪山でトイレも簡単には行けないため、排せつリズムを崩してお腹を壊してしまうことも心配だ。そこで慣れた日本の味で、野菜もご飯も食べられ、栄養もとれることは重要だ」

人気はギョウザとから揚げのメニュー。最終日には、選手らに人気投票してもらうという。

スノーボードの小須田潤太選手は「北京大会では食事がまったく合わず、大変だった。今回はそれほどではないが、冷凍弁当はおいしく、こちらを選びたい。最高です」と賞賛してくれたという。

拠点を訪問した小須田選手(味の素提供)
パラ・スノーボード競技が行われる会場(味の素提供)

初の冷凍食品輸送

オリンピックと違って、パラリンピックは予算も限られている。そのなかで、栄養と味を満足させ、温かいものを提供するために蘆名さんらが冷凍弁当を発案したところ、周囲は当初、「不可能だ」という答えだった。

マイナス18度を保ち、運んでこなければならない。一度でも冷凍状態が途切れれば味だけではなく品質が損なわれ、選手のお腹を壊すことになりかねない。日本の倉庫から羽田空港、ベネチア空港へ。飛行場で待たせていた冷凍車に製品を乗せ、選手村へ。かかった時間は約30時間。冷凍食品の担当者も随行し、2月27日にセッティングできた時は、胸をなでおろしたという。

選手村近くの拠点で、パラ選手のために準備する蘆名さんら(味の素提供)

「現地の冷凍庫の準備が遅延する思わぬトラブルもあったが、無事運びこめたときはガッツポーズをしました」と蘆名さん。味の素が2016年のリオ・オリンピックから現地で栄養サポートを行ってきた歴史の中で、初めての冷凍食品運搬だった。

大好評の餅入りスープ

初めて持ち込まれた新メニューに、餅入りスープ「すうぷもっちー」がある。フリーズドライのスープと餅の組み合わせで、マグカップに入れて水を注ぎ、電子レンジで温めるだけ。冷凍弁当の数が限られる中、餅で腹持ちもよく、おいしく食べられることから、選手たちから大好評だという。

餅入りスープ「すうぷもっちー」

昨年のドバイで行われたアジアユースパラ大会でパラ選手をサポートする中で、冷凍ギョウザや、からあげなど自然解凍で弁当のプラス1品になる「おべんとPON」も人気となった。これまでの大会でも提供してきた「だし湯」のブースもあり、今回は初めて高級かつおだし「SHIDA」を使用。おいしいうえ、緊張を和らげてくれると、選手やスタッフが頻繁にブースを訪れていた。

パラリンピックの競技環境は過酷だ。日中は15度ぐらいまで気温が上昇、人工雪を降らせているが、雪が解けていったん氷になるという雪質が悪い中で、競技を行わなければならない。ケガのリスクが高まり、命がけだ。

「よい成績をとってほしいのはもちろんだが、無事競技から戻ってくる選手を見るだけで泣きそうになる」と蘆名さん。

村岡桃佳選手がスーパー大回転で銀メダルを獲得した。パラアスリートの活躍の舞台裏で、知恵と努力、そして熱意で、パラ選手の「食」を支え続けていた。

パラ選手とともに、テーブルを囲むスタッフら(味の素提供)

筆者:杉浦美香(Japan 2 Earth編集長)

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