韓国人元徴用工を象徴する像の前で、韓国の尹錫悦大統領(当時)の対日外交を批判する人たち=2023年3月、ソウル(共同)
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いわゆる徴用工訴訟問題を巡り、韓国の李在明政権が、元徴用工らに対する「賠償」の支払い業務を担ってきた政府傘下財団「日帝強制動員被害者支援財団」の沈揆先理事長を近く解任する方針を固めたことが3月22日、分かった。財団は日韓関係の懸案だった徴用工問題の解決を目指した尹錫悦前政権下で業務を進めたが、李政権の監査で手続きの一部を不正に省略したと指摘され、沈氏が責任を問われた。

問題解決に向けた官民協議会の委員だった専門家は「(解任は)重すぎる処分だ。良好な日韓関係への悪影響が懸念される」と指摘する。李政権には財団の不正を強調し、徴用工問題を巡る前政権の功績を否定する狙いがありそうだ。
関係者への取材や産経新聞が入手した監査報告書などによれば、尹政権は徴用工訴訟を巡って2023年3月、「第三者弁済」方式を打ち出し、政府傘下の財団を通じて賠償金相当額を支出すると表明した。だが、原告側の一部が受け取りを拒否したため、財団は資金を裁判所に供託する手続きに入った。
この手続きの際、財団職員が一部の申請書類で、実印と異なる理事長名義の印鑑を複数作成して不正に捺印。報告を受けた沈氏も黙認していた。供託を急ぐ考えがあったとみられている。
報告書は、財団が尹政権の外交政策を主導する大統領府国家安保室から早期に供託を終えるよう指示を受けていたと指摘した。当時、23年7月の日韓首脳会談や同8月の日米韓首脳会談などの外交日程が控えていた。
沈氏は産経新聞の取材に「手続きを急ぎ一部の書類に問題があったのは事実だが、被害者(原告)家族の意に反する手続きや個人的な利益の追求など、やましい行動は一切ない」としている。
監査は李氏の出身政党である革新系の現政権与党「共に民主党」からの問題提起を受けて実施された。徴用工問題について李氏は「国家間の関係には信頼の問題があり一貫性が重要だ」と述べ、尹政権の解決策を維持する考えを示している。
筆者:時吉達也(産経新聞ソウル支局)
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■徴用工訴訟問題 日本統治時代に朝鮮半島から動員され労働を強いられたとして、元徴用工らが損害賠償を求めた訴訟で、韓国最高裁は2018年、日本企業に賠償支払いを命じる確定判決を出した。日本政府は1965年の日韓請求権協定で解決済みとの立場から反発。尹錫悦前政権は2023年、政府傘下の財団が寄付を募り、賠償金相当額を原告側に支払う解決策を発表した。
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