ミラノ・コルティナ冬季五輪フィギュアスケートのペアで、金メダルを獲得した「りくりゅう」こと三浦璃来、木原龍一の両選手。偉業を陰で支えた一人が、2人の栄養サポートを担う公認スポーツ栄養士の西山英子さんに、〝金メダルの体〟をつくった食事を教わった。
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りくりゅうペアと談笑する西山英子さん(右端)

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ミラノ・コルティナ冬季五輪フィギュアスケートのペアで、最高の演技を披露し金メダルを獲得した「りくりゅう」こと三浦璃来、木原龍一の両選手。偉業を陰で支えた一人が、2人の栄養サポートを担う公認スポーツ栄養士の西山英子さんだ。「持ち上げられる側と持ち上げる側なので、求められる体づくりは全く違います」という西山さんに、〝金メダルの体〟をつくった食事を教わった。

オンラインでアドバイス

「普段から早起きなので、2人の演技は自宅でテレビ観戦していました。手に汗握って『わーっ』と拍手しながら」と歓喜の瞬間を振り返った西山さんは、多数のアスリートの栄養サポートを請け負うエームサービス(東京)に所属する。

木原龍一選手が栄養サポートを受ける朝食の一例

同社は三井物産(東京)の子会社で、主軸は給食事業や社員食堂の運営。西山さんは、カナダを拠点とするりくりゅうペアとは月1回オンラインで面談し、食事指導やレシピの提案、遠征先に持参する食料のアドバイスなどを行っている。

回復力を高めるため

始まりは木原選手。令和5年に腰椎を痛め、「けがや疲労からの回復力を高める体をつくりたい」と依頼があった。西山さんがまず取りかかったのが、カナダの食環境調査。「毎日3食ほぼ自炊」という木原選手に、3日間の食事をすべて記録してもらい、スーパーの売り場やレストランの写真を送ってもらった。

これらを基に、体の回復力を高めつつ体格を維持するために必要なエネルギーや栄養素量を分析。その結果、カルシウムとタンパク質、ビタミンDが不足していることが分かった。

そこで主食(ご飯、パン、麺類)と主菜、副菜に加えて、1日3回、乳製品と果物を摂取するようアドバイス。体重管理のために糖質の量を抑え気味だった木原選手に、「練習をこなしながら疲労を回復するために、糖質は大切。必要な量のご飯はしっかり食べてほしい」と話した。

木原選手からは「検査したら、骨の強度が上がっていました」と感謝されたという。

朝食と昼食に重点を

木原選手に刺激を受け、昨年から三浦選手も加わった。

それまでは体重管理を意識しすぎて食事量が少なく、特に朝食が足りていなかった三浦選手。体脂肪を増やさず練習に必要なエネルギーを確保するため、西山さんは、朝昼の食事に重点を置いて夕食を軽めにすることを助言した。

さらに、「乳製品が苦手と聞いたので、牛乳はカフェオレにしたり豆乳で代替したりすること、塩分の取りすぎで体がむくまないよう鍋料理の汁は飲み干さないことも伝えました」

三浦選手からは「(サポートが始まった)今シーズンは一度も体調不良になっていないんです」と、うれしい報告があった。

けがが治りやすい、疲労回復が早くなるという〝魔法の食材〟は存在しないが、人の体は食べ物によってつくられている。西山さんは「食事は大事。そのベースを整えるアドバイスをしたことで、少しは(好成績の)お手伝いができたかな」と顔をほころばせた。

欠食せず、一汁三菜とる

西山さん直伝の「アスリートの食事」は、決して特別なものではない。

サポート開始からおよそ半年後の木原選手の朝食。野菜や果物が加わり、栄養バランスが良くなった

ポイントはたった2つ。1日3食とること。バランスの良い食事をすること。基本は一汁三菜。そこに、一般の人は1日1回、アスリートは1日3回、乳製品と果物を加える。

ただし、「1日3回、一汁三菜をきちんととる人はまずいない」と西山さん。「アスリートだって、ファストフードやコンビニ弁当で済ませることもあります。毎食きちんとできなくても、1日や数日の中でバランスを取ればいい。欠食することなく、基本の食事を頭に入れて、食事の自己管理ができるようになるのが一番。それは、アスリートも一般の人も同じです」と説いた。

筆者:田中万紀(産経新聞)

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