ホンダが巨額の最終赤字に転落する。米国市場でEV需要が減少しており、北米で生産予定だった車種の開発を中止することが主因。
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ホンダの三部敏宏社長

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ホンダが巨額の最終赤字に転落する。主力の米国市場で電気自動車(EV)需要が減少しており、北米で生産予定だった3車種の開発を中止することが主因だという。

関連設備の減損損失を計上することなどで、令和8年3月期連結決算の純損益予想を最大6900億円の赤字になると修正した。最終赤字は昭和32年の上場以来初めてだ。令和9年3月期以降も多額の損失を計上する可能性がある。

ホンダは国内自動車メーカーでは唯一、「脱エンジン」戦略を掲げてきた。22年にすべての新車をガソリンを燃料としないEVと燃料電池車(FCV)にする計画だった。

だが、トランプ米政権の誕生で、EV購入の税制優遇措置の廃止や排ガス規制の緩和など相次ぎ環境政策が見直され、米国のEV需要は冷え込んでいる。ホンダは戦略の練り直しを急がねばならない。

ホンダが巨額損失を計上することで改めて浮き彫りになったのは、政府の支援がなければ、EVはまだ多くのユーザーにとって魅力的な選択肢ではないということだ。価格はまだ高く充電設備も整備途上である。

米ゼネラル・モーターズ(GM)やフォード・モーター、欧州ステランティスなど海外メーカーもEV関連の損失の影響で巨額の赤字に陥っている。

ソニー・ホンダモビリティが公開した「AFEELA1」の先行量産車=1月5日、米ラスベガス(共同)

ただ、中長期的には自動車の脱炭素技術はEVが中心になるとの見方は変わっていない。原油価格の高騰が長引けば、EVが見直される可能性もある。比亜迪(BYD)などEVを核に据える中国メーカーの台頭は著しく、今後も国際的な競争力を維持するにはEV開発の手を緩めることは難しい。

ホンダは競争力のあるハイブリッド車(HV)技術を持っている。当面は米国で販売が伸びているHVを軸にした販売戦略で利益を確保しながら、中長期的な視点で魅力的なEVの開発を進める必要がある。

HVを含むエンジン車やEVだけでなく、車載ソフトの書き換えによって性能を向上できる次世代車「ソフトウエア・デファインド・ビークル(SDV)」の開発も急がねばならない。1社単独での開発費負担は重い。統合が破談となった日産自動車をはじめ他社との提携戦略も重要となる。

2026年3月24日付産経新聞【主張】を転載しています

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