グラス駐日米大使(彦野公太朗撮影)
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トランプ大統領と高市早苗首相が、横須賀の空母「ジョージ・ワシントン」で、多くの歓声に包まれ肩を並べて演説をしてから5カ月。両首脳が示した親密さと温かい雰囲気が、先週再び鮮明となった。
今月の日米首脳会談を振り返って
首相による就任後初の訪米は、昨年の大統領の訪日と同様に、成果のある意義深いものとなった。両首脳は親交をさらに深めただけでなく、確固たる行動を通じて世界をけん引する関係を築く決意を改めて強調した。
日米同盟は今、極めて重要な局面を迎えている。強い信念と不屈の精神を持つ2人の指導者、革新と活力に富む2つの国、かつてないほど緊密に結びついた2つの経済-。両国はこれから訪れる好機をつかむ万全の備えができている。先週の首脳会談がその証左だ。
首相の訪米は、日米同盟とサプライチェーン(供給網)を強化し、両国経済を前例なき速度で変革する先端技術でのリーダーシップを拡大する新たな取り組みを生み出した。これは昨年の画期的な貿易・投資合意、さらにエネルギー、先端技術、造船、重要鉱物といった中核分野に関する追加的な協力合意に基づいている。

繁栄は盤石な確実性から
インド太平洋地域の昨年の情勢は、堅固で、即応力を備えた同盟の必要性を改めて浮き彫りにした。反撃能力を含む防衛態勢の抜本的強化に向けた日本の決意は、自由で開かれたインド太平洋の平和と安定を守る日米の抑止力を一層強化する。繁栄は盤石な確実性が広まってこそ実現する。
急速に進化するハイテク防衛時代の中、安全なソブリンクラウド(データを自国内で管理する仕組み)の確立を目指す日本の構想は、日米間の重要情報共有と有事対応力の向上を可能にする。現在のデジタル環境において、極めて重要で、喫緊の課題だ。
日米は、人工知能(AI)を活用した科学研究、高性能計算、量子技術で共同事業を進めると同時に、これらを構築し、稼働させる手段の確保にも努めている。
エネルギー安全保障の重要性
米国の潤沢なエネルギー資源の活用と重要鉱物サプライチェーンの多様化に向けた最新の取り組みの一環として、日米は5500億㌦の対米投資合意に基づく日本の第2弾案件を発表した。それは発電分野に特化するもので、テネシー州とアラバマ州での小型モジュール炉(SMR)発電所建設、テキサス州とペンシルベニア州でのガス火力発電所建設に計730億㌦を投じる。

資源に乏しい日本は、エネルギー安全保障が即ち国家安全保障であることをどの国よりも熟知している。インド太平洋地域でデータセンター建設が急増する中、手ごろな価格で信頼性の高いエネルギーの安定供給を確保することが、これまで以上に重要だ。
東京で初のフォーラム開催も
両政府が今月、東京で初めて開催した「インド太平洋エネルギー安全保障フォーラム」はこの課題を取り上げた。各国政府とエネルギー企業が2日間にわたって議論し、域内のエネルギーに関する20件超、総額560億㌦の合意が生まれた。
連携は、製造業、インフラ、現代経済に不可欠な重要鉱物とレアアース(希土類)の安定供給確保に向けた日米の取り組みの中核でもある。だが、産業と技術で我々の潜在力を本当に引き出すには、単一の独占的な供給源への依存を減らさなければならない。
日米は、欧州連合(EU)や豪州などと連携し、採掘、精錬から加工、リサイクルに至る重要鉱物分野の全ての面で事業を支援している。さらに先週、特定鉱物の最低価格制度を導入し、深海鉱物開発で共同事業を加速させることにも合意した。こうした取り組みは、日米が共有する経済安全保障にとって不可欠だ。
ホワイトハウスでの夕食会で、トランプ大統領は「卓越性、たゆまぬ努力、可能性の限界を押し広げること」に対する両国共有の決意を強調した。こうした資質こそが、これから先も日米の素晴らしいパートナーシップを成功へと導いていく。
筆者:ジョージ・グラス(駐日米国大使)
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