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戦時中に長崎市の端島炭坑(通称・軍艦島)で朝鮮人労働者が虐待された証拠として韓国側が無関係な写真を取り上げている問題で、元島民らが誤りを指摘する冊子を作成したことが1月29日、分かった。代表的な3枚の写真を掲載し、「偽写真で世界を欺き、端島をおとしめることは許されない」と訴えている。
韓国政府や市民団体は、軍艦島などが平成27年に国連教育科学文化機関(ユネスコ)の世界文化遺産に登録される前後から「朝鮮半島出身者が奴隷のように働かされていた」などと、元島民らの証言に反する主張を展開している。
朝鮮人労働者が徴用された採炭現場の悲惨さを訴えようと、画像も活用している。狭い坑道に横たわった作業員の写真は、米ニューヨークの繁華街・タイムズスクエアに掲示された「軍艦島は地獄島」との意見広告や、釜山の「国立日帝強制動員歴史館」で朝鮮人が強制労働されたとする展示物などに使われた。
しかし、この写真は昭和30年代に福岡県の筑豊炭田を撮影したもので、戦時中の朝鮮人労働とは無関係だと判明している。
韓国側は、国連関係者に日本の加害性を印象付ける傷だらけの男性たちの写真を掲載した冊子も配布した。ただ、これも大正15年に旭川新聞(北海道、廃刊)が建設現場での虐待致死事件を報じた際の写真だったと判明。記事に朝鮮人をうかがわせる記述はない。
日本の大半のメディアがこれらの問題に沈黙していることを受け、元島民らは自ら反論冊子を作ろうと決意した。高齢者となった元島民らは冊子に「デマを聞き流すことは、故郷の繁栄を築いたご先祖を汚すことで、死にきれない」とのメッセージを寄せた。軍艦島の近代化の過程などを紹介する「産業遺産情報センター」(東京都新宿区)で日英韓の3カ国語で配布する。