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新型コロナウイルスを世界最速で高精度に検出する技術を、理化学研究所などの研究チームが開発した。従来のPCR検査が約1時間かかるのに対し約5分で検出可能。2年後の実用化を目指している。19日に英専門誌電子版で発表した。
新型コロナの遺伝子が、ちょうど1つ入る程度の微細なくぼみを無数につけたガラス板状のマイクロチップを使う。この上で、被験者の唾液や鼻・のどの粘膜から採取した検体と、新型コロナの遺伝子と結合し緑色に光る試薬を混合。陽性なら光を放ち、5分以内で感染を判定できるという。光るくぼみを数えることでウイルスの量も分かる。
PCRの場合、検体中の遺伝子を検出可能な濃度にするため、事前に1時間近くかけて遺伝子の抽出や増幅を行う必要がある。だが理研などの試薬は高感度なため事前処理が不要で、手間がかからず検出も早い。また、増幅の不具合で起きる偽陰性などの判定エラーが生じる可能性も低い。
1検査に必要な試薬などの費用は約1千円。PCRの約500円より高いが、将来はマイクロチップの大量生産で同等のコストになる見通しとしている。理研の渡辺力也主任研究員(生物物理学)は「他のウイルスに反応する試薬に変えれば多様な感染症の迅速な診断に応用できる。実用化を急ぎたい」と話している。