2plus2 Meeting January 2022 Blinken Austin Kishi Hayashi

US-Japan Two plus Two (Defense and Foreign Affairs), January 2022

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日米両政府は1月7日、外務・防衛担当閣僚による安全保障協議委員会(2プラス2)をテレビ会議形式で開いた。中国や北朝鮮が開発を進める極超音速ミサイルなど最先端兵器に対応するため、日米共同で分析や研究開発を行う方針で一致。共同研究を円滑に行うための交換公文を交わした。共同発表では「(日本は)ミサイルの脅威に対抗するための能力を含め、国家の防衛に必要なあらゆる選択肢を検討する」と明記し、日米の役割分担をめぐる議論の中で、敵基地攻撃能力の保有を含めた検討を行っていく方針を打ち出した。

 

会合には林芳正外相、岸信夫防衛相、ブリンケン国務長官、オースティン国防長官が出席した。来年度以降の在日米軍駐留経費に関する日本側負担(思いやり予算)について、5年間で年平均約2110億円とする特別協定にも署名した。

 

沖縄の普天間基地

 

会談で岸氏は「あらゆる選択肢を排除せず、防衛力を速やかに、抜本的に強化する」との考えを表明し、米側は歓迎の意を示した。両国は「役割・任務・能力(RMC)」に関する議論の深化と、緊急事態に対する共同計画の策定作業に関し「力強い進展」があるとして歓迎した。

 

ブリンケン氏は研究開発の交換公文について「極超音速の脅威への対抗から、宇宙での機能向上まで、科学者や技術者らが容易に協力できる」と意義を説明。オースティン氏は「地域の平和と安定に貢献する日本の能力の高まりを反映し、われわれの役割と任務を深化させる」と語った。

 

共同発表では中国を念頭に「地域における安定を損なう行動を抑止し、必要であれば対処するために協力する」と明記。威圧的な行動に関し、情報共有の取り組みを強化するとした。

 

尖閣諸島(沖縄県石垣市)への日米安全保障条約の適用を再確認し、中国による南シナ海での不法な主張や活動に対する強い反対を表明。新疆ウイグル自治区や香港の人権問題に深刻な懸念を示し、台湾海峡の平和と安定の重要性を強調した。米国は、核を含むあらゆる能力を用いた日本防衛義務へのコミットメントを改めて表明した。

 

 

敵基地攻撃 同盟で「最適化」へ

 

林芳正外相

 

政府は今回、敵基地攻撃能力を念頭に「ミサイルの脅威に対抗するための能力」について、あらゆる選択肢を検討する方針を米側に伝えた。ただ、敵基地攻撃能力の保有は米軍が攻撃、自衛隊が防御を担ってきた日米同盟の役割分担に見直しを迫るもので、米側との調整が不可欠となる。政府は年末の国家安全保障戦略など戦略3文書の改定に向け、米側との協議を加速化させる方針だ。

 

「日本の安全保障政策にとって今年は戦略文書の策定が本格化する非常に重要な1年となる。日米2プラス2でスタートできるのは大変時宜にかなったことだ」

 

林外相は会合でこう述べ、戦略3文書を改定する上で米側との協議が重要との認識を強調した。7日に発表した共同文書では日米間で「役割・任務・能力(RMC)」をめぐる協議が進んでいることを確認しており、その成果がまとまった形で反映されるのが戦略3文書となる。

 

RMC協議は日米の実務者を中心に行われる。関係者によると、ミサイル防衛、戦闘機や水上艦の戦力バランスなどテーマごとに担当者が集まり、日米が直面する脅威を踏まえて役割分担や必要な装備について認識のすり合わせを行っているという。

 

岸田文雄首相は昨年10月に敵基地攻撃能力の保有を含めて検討する考えを表明した。2プラス2では、ミサイルの脅威への対抗手段としてあらゆる選択肢を検討する作業で日米が「緊密に連携」することを確認しており、RMC協議でも議題となる。

 

北朝鮮ミサイル発射=2021年9月

 

ただ、一口に敵基地攻撃能力と言っても、仮想敵国や日米間の役割分担がはっきりしなければ具体的な装備を確定できない。例えば、ピンポイントで北朝鮮のミサイルを攻撃するのか、中国のレーダーや物資集積施設をたたくのか、滑走路や地中深くの司令部を機能不全に陥らせることを狙うのかによって、保有すべき装備も変わるからだ。

 

オースティン長官は7日の会合で、日本の能力強化を反映した役割・任務に関する枠組み設定に意欲を示すとともに「同盟の戦力態勢を最適化する」とも述べた。今回の2プラス2は、日本が敵基地攻撃能力を保有する場合、日米同盟の中で「最適化」する形となることを確認する場となった。

 

筆者:杉本康士(産経新聞)

 

 

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