中国海軍の戦闘機が、対領空侵犯措置で緊急発進した航空自衛隊の戦闘機にレーダー照射した問題で、中国側は今も非を認めていない。それどころか説得力のない話を持ち出して日本を非難する始末だ。
Japanese F-15 fighter jet

航空自衛隊のF15戦闘機=2024年10月

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中国海軍の空母から発艦した戦闘機が、対領空侵犯措置で緊急発進(スクランブル)した航空自衛隊の戦闘機に、断続的にレーダー照射した問題で、中国側は今も非を認めていない。それどころか説得力のない話を持ち出して日本を非難する始末である。

改めて言う。12月6日の中国機による断続的なレーダー照射は極めて危険な挑発行為だ。中国政府は潔く謝罪し、再発防止を誓わなければならない。

中国軍は、訓練実施の海空域を事前に公表していたのに空自機が接近して訓練を妨げたと非難した。防衛省は事前公表はなかったとしていた。

中国軍は9日、音声データを公開した。「遼寧」艦隊が6日、飛行訓練の開始前に無線で「計画に基づき艦載機の飛行訓練を実施する」と伝える内容で、海上自衛隊の護衛艦とされる音声は「メッセージを受信した」と応答した。中国側は日本が噓を言っていた証拠だと宣伝した。また、レーダー照射は捜索用だったと強弁した。

中国側の言い分は何から何まで誤っている。

中国海軍の空母「遼寧」(防衛省統合幕僚監部提供)

中国軍は訓練の日時や、緯度経度による正確な場所を一度も伝えていない。一般の船舶や航空機に危険を避けてもらうためには、前もって十分な日数をとって、ノータム(航空情報)や航行警報のシステムで訓練海空域の正確な情報を公表すべきだったのに怠っている。不十分かつ遅すぎる音声データしか示せないことが、中国軍の不手際を示している。

そもそも、現場の沖縄本島南東の公海上空は日本の防空識別圏(ADIZ)だ。訓練通知の有無や真偽にかかわらず、空自機がスクランブルするのは正当だ。中国側に空自機の飛来を阻んだり、火器管制のレーダー照射をしたりする権利は毫(ごう)もない。また、断続的照射の事実から中国側の言う「捜索用」は虚偽だと容易に分かる。

小泉進次郎防衛相=12月10日午前、防衛省

小泉進次郎防衛相は事実に即した的確な反論を重ねている。米豪伊の国防相や北大西洋条約機構(NATO)の事務総長らに事態を説明し、彼らと深刻な懸念を共有できた。国益を守る妥当な対応を続けてほしい。

一方、中露は9日、核搭載可能な爆撃機を四国沖まで共同飛行させた。露骨な軍事的威嚇にあきれ返るばかりである。

2025年12月14日付産経新聞【主張】を転載しています

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