イランの最高指導者に選出されたモジタバ師(ゲッティ=共同)
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イランの最高指導者を選出する権限を持つ「専門家会議」は、殺害されたハメネイ師の後継者として、同師の次男、モジタバ師を選出した。
モジタバ師は、国際社会と対立してきた父の独裁体制と明確に決別すべきである。
モジタバ師が選出されたことで、イランが米イスラエルに抗戦する意思が鮮明になったとみられている。
ハメネイ師の死去後、イランに親米体制への転換を要求してきたトランプ米大統領は米FOXニュースに対し、モジタバ師選出について「満足していない」と述べた。
革命防衛隊はモジタバ師への忠誠を表明している。新体制は周辺国やホルムズ海峡を航行する船舶への攻撃を直ちにやめなければならない。

モジタバ師は、父が進めてきた核開発路線も明確に放棄すべきだ。トランプ政権はイランに対し、核兵器の原材料となる濃縮ウランの放棄を要求している。だが、イランは核拡散防止条約(NPT)上の原子力の平和利用の権利があると主張している。イランが核兵器保有の野心を持つとの懸念を国際社会が抱いていることを忘れてはならない。
トランプ政権は2月までのイランとの協議で、イランの弾道ミサイルの射程制限も要求してきた。射程が中東地域のみならず、欧州諸国や米国にまで及ぶとの懸念があるためだ。多くの国々の安全保障を脅かす事態は容認し難い。
イランはパレスチナ自治区ガザのイスラム原理主義組織ハマスに加え、レバノンやイエメンの親イラン民兵組織の後ろ盾になってきた。こうした勢力は、中東地域の不安定要因となり、多くの紛争を引き起こしている。支援は直ちに中止されねばならない。

イランでは昨年末から年明けにかけて、大規模デモが発生した。物価高騰に加え、ハメネイ体制の強権姿勢に国民が不満を抱いた結果だ。弾圧で数千人規模の死者が出ており、看過できない。新体制は、国民の声に真剣に耳を傾ける必要がある。
米イスラエルとの交戦で、イランではこれまで、千人超の死者が出ている。交戦による犠牲者が増え続けることを避けるためにも、モジタバ師は父の強硬路線を転換すべきだ。
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2026年3月10日付産経新聞【主張】を転載しています
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