中国が過去最大規模となる計100隻超の軍艦と中国海警局の船を東アジア海域で展開した。
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尖閣諸島周辺の接続水域を航行する中国海警局の船

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ロイター通信は12月4日、中国が過去最大規模となる計100隻超の軍艦と中国海警局の船を東アジア海域で展開したと報じた。複数の情報当局者の話としている。高市早苗首相の台湾有事を巡る国会答弁に反発した中国外務省が駐中国日本大使に抗議した11月中旬以降、中国は通常の数を上回る艦船を展開しているという。

台湾の総統府報道官は5日、ロイターの報道を巡り「(頼清徳)総統は事態を把握するよう国防部(国防省に相当)などに指示した」とした上で「こうした軍事行動はインド太平洋地域全体にとって脅威となる。中国に対し大国の責任をきちんと果たし、抑制した行動をとるよう呼び掛ける」と記者団に述べた。

台湾当局者は昨年12月、中国が第1列島線(九州沖-沖縄-台湾-フィリピン)周辺で「計100隻近い艦船」が第1列島線周辺に展開し「過去最大規模の海上軍事行動」を実施したと明らかにしていた。ロイターの報道が事実であればそれを超える規模となる。

台湾の頼清徳総統は11月26日、「中国が武力による台湾統一に向けた軍備を加速させている」として、防衛力増強に向けて2033年までの8年間で1兆2500億台湾元(約6兆2500億円)の特別予算を計上する方針を表明。中国側は反発している。

台湾の総統府で記者会見する頼清徳総統(西見由章撮影)

台湾の情報機関「国家安全局」の蔡明彦局長は12月3日、「11、12月は中国が軍事演習を活発化させる時期だ」と記者団に述べた。また台湾メディアは1日、「日中関係が緊張する中で今後1週間以内に中国が(解決に向けた)きっかけを得られなければ、大型軍事演習を行う可能性を排除しない」とする安全保障当局者の発言を報じた。ただ、中国が昨年12月に艦船100隻近くを展開した際は、軍事演習の実施は宣言していない。

ロイター通信によると、通常を上回る規模の中国艦船は11月14日以降、黄海南部から東シナ海、南シナ海、太平洋に至る広い海域に展開し、4日朝の時点で計90隻以上が確認された。一時は100隻以上が展開したという。

筆者:西見由章(産経新聞台北支局)

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