レアアースを含んだ鉱石。中国の対日威圧が軍民両用品目の輸出規制にも拡大した(共同)
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日本に対する露骨な経済的威圧である。
中国政府が民生、軍事のどちらの用途でも使える軍民両用(デュアルユース)品の対日輸出管理を強化すると発表した。ハイテク製品に欠かせぬレアアース(希土類)などが含まれる恐れがある。
中国商務省は報道官談話で同措置に関し、「日本の指導者が台湾に関する誤った発言を公然と行った」などと指摘した。
中国は昨年来、台湾有事を巡る高市早苗首相の当然の発言に嚙(か)みつき、渡航自粛などの威圧を繰り返している。今回の輸出規制で「報復」のレベルをさらに引き上げたということだ。
許しがたい措置である。日本のみを狙い撃ちにした規制強化は極めて不当だ。日本政府が中国側に抗議し、措置の撤回を求めたのは当然である。米欧とも連携し、中国の身勝手な振る舞いに厳しく対処すべきだ。

規制の具体的品目などは明らかにしていないが、中国国営英字紙の報道ではレアアース関連の輸出許可審査を厳格化することが検討されている。レアアースは電気自動車のモーターなどの工業製品に使われている。
中国は、米国の高関税政策を巡る昨年の対米交渉でもレアアースを武器としてトランプ政権の歩み寄りを引き出した。日本からも同様の成果を得たいのだろうが、高市首相の発言撤回などを求める中国に譲歩すれば禍根を残す。高市首相には毅然(きぜん)とした姿勢を貫いてほしい。
特に警戒すべきは、中国が軍民両用分野をターゲットにした意図だ。中国は、日本が軍国主義化して東アジアの脅威となっているかのような虚妄を国際社会に流布する宣伝戦を展開している。今回の措置にも同様の狙いがあろう。
これに徹底的に反論し、中国の振る舞いがいかに異様かをあぶり出す国際社会への働きかけも重要である。

日本企業には冷静に対応してほしい。もとより対中事業の政治リスクの大きさは周知のことだが、過剰な対中依存の危うさを再認識せねばならない。
まずは規制の細目がどうなるかを見極めた上で、影響を抑える方策に取り組む必要がある。中国からの輸入に依存することがないよう代替品開発や調達先の多様化を図り、サプライチェーン(供給網)を再構築できるかが問われよう。
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2026年1月8日付産経新聞【主張】を転載しています
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